(1) 任意の負荷山積み算出
日程計画の作業の属性には施工する対象製品・施工場所・作業者・職種等が設定でき、5W1Hが全て表現されるので、任意の層ごとに時系列に沿った負荷山積みの算出が可能となる。
(u) 日程管理の条件提供
日程管理の全ての作業ごとには、当然多対多の前後関係が表現できている。それを使って、ある作業はいつまでに完了しなければならない、いつから開始できるなどの日程管理の必要条件を提供する。またクリティカルパスも容易に計算できる。
(v) 溶接の作業指示提供
溶接作業に関する詳細な情報として、溶接線方向、のど厚方向を使った溶接姿勢の認識、溶接残し・タック溶接・片面溶接・溶接回し・脚長の変化・パス数・仮止め位置などを表現できる。こうして、溶接作業に関してソフトウェア面の作業指示情報は全て用意することができる。
(w) 任意の手順の完全表現
工作では色々なレベルの手順が存在するが、PMでは組立・取付・作業順序と層別し、全てのニーズを満足した手順が表現できる構造になっている。作る順番に関する作業指示情報はほぼ完全に表現できる。
(3) 業作業を支援するプロセスモデル
PMが船という製品に関する情報と知識を表現するのに対し、プロセスモデルはその対象物にどのように働きかけるかという行動、すなわち、業務プロセスに関する情報と知識を表現するモデルである。高度造船CIMでは造船の高度な協業作業を支援するために、従来の造船CIMには無いプロセスモデルを新たに導入していてPMと並んで中核的モデルとなっている。
プロセスモデルは次のような特徴を持っている。
(a) 細かいモデル粒度
市販のワークフロー管理システムは、主として定型的な業務フローの表現とそれに基づいた進捗管理を対象として比較的粗い粒度のプロセスモデルとなっている。これに対し、高度造船CIMのプロセスモデルは、進捗管理レベルの業務フローの表現はもちろん、設計ステージで発生する設計者間の複雑な協業作業の詳細な分析結果に基づいたより細かい粒度のプロセスモデルとなっている。こうして、市販ワークフロー管理システムでは困難な設計チームの複雑な協業支援を実現できる。