(ウ) スロットにおける設計意図を表す情報
ロンジが板材を貫通する個所におけるスロットについては、設計者はこれらを水密にするかどうか、及びスロットタイプにするかスリットタイプにするかという意図を持って設計しているので、これに対応してスロットごとにこれらの情報を属性として保持できるようにした。
(エ) 条材・フェース部材における設計意図を表す情報
条材やフェース部材の端部形状について、設計者はこれを強度的な観点から検討したうえでスニップやクリップなどのどのタイプにするかを決定している。また、条材の端部をブラケット付きにするかどうかについても同様である。これらの設計意図に対応して条材とかフェース部材ごとにこれらの情報を属性として保持できるようにした。
(e) 工作との連係
施工法を表現する属性と部材形状との間に関連を持たせ、工作法に対する形状の妥当性をチェックできるようにしている。
実際にはスロットの詳細構造パターンについて、そのスロット形状がスリットタイプかスロットタイプかという情報を属性として持つようにしている。この情報は、例えばロンジの付いた内底板にフロアを接合するときの施工法に従って設計者がスロット形状を決めるために用いることができる。
4.3.3 表現力の向上に関する拡張
(1) 必要性
本開発研究では、GPME開発研究で開発された船殻構造FLを拡張して実用レベルのものとすることを目指しているので、EFL/Sでは表現できない造船固有の構造を新たに表現できるようにしたり、表現できないことはないが、その構造が造船において持っている意味までは表現できていないものについて、部材種類ごとの性質などを含めて表現できるようにして、より柔軟で正確にモデルを構築できるようにする必要がある。
また、特に船殻詳細形状に関しては、それを必要とするようなサンプルアプリケーションが無かったこともあり、スロット形状など一部を除いてその表現能力は十分とは言えない。実船の詳細構造を実用レベルで表現するためには、条材端部形状、板材のコーナースカラップ形状などについて大幅な拡張が必要である。また、船殻詳細構造は通常詳細設計時点で確定されるが、ブロック分割検討時点や設計初期の工法検討時点においても、検討対象部分に関してはスロット詳細形状を検討するなど、現実の設計では工法上重要部分の詳細構造形状は、設計初期から検討対象となる場合が多い。