・アクティビティ?全体の作業が終了しなくても、下にブロックがあれば、アクティビティ?のブロックについて先行作業が開始できるといったブロック間の優先順位関係(上下関係)
・アクティビティ?と?に隣り合うブロックは、同色にすることができないために、担当するプレーヤ同士で調整しなければならいという関係(左右関係)
このワークエレメント間の依存関係を、ゲームが進んでいく過程でエージェントが、プレーヤ同士の確認作業等の実績から学習し、その学習した依存関係を利用して、マネジャーとプレーヤ間、あるいはプレーヤ相互の協業をうまく支援できるかどうかがプロトタイプシステム試行のポイントである。
(2) プロトタイプシステムの有効性について
上記のように、このゲームシナリオは非常に単純なものであるが、2.2で述べたプロセスモデルの構成要素との対応が非常によく取れており、アクティビティとワークエレメントの関係を視覚的に把握することができる。また、実行メカニズムとしても、2.3で述べたエージェントがバックで動いており、その機能の検証が可能である。
また、3.2.1で述べた現状業務からのプロセスモデルに対するニーズとして整理した項目に対して、このプロトタイプシステムでは、以下のような内容に置き換えて考えることができる。
(a) 作業着手に必要な情報収集に関する課題
対象とするブロックを置くことができるかどうか、あるいは隣り合うブロックの整合性が保たれているかどうかを、他のプレーヤに対してエージェントは確認しなければならない。
(b) 設計変更の通知と対応に関する課題
他のプレーヤとの調整の結果、ブロックの色を変更しなければならない状況が発生し、その影響があるプレーヤにその変更通知をしなければならない。
(c) 進捗管理に関する課題
マネジャーは、ワークフローの定義によって、アクティビティ(プレーヤへ割り当てた作業範囲)単位での進捗は把握することができるが、それよりも細かいブロック作業(ワークエレメント)単位で進捗管理をすることができないか。
このように、本プロトタイプシステムは今後のより複雑なシナリオに基づく協業支援に進むに際しての有効なプロトタイプシステムであると言える。
3.4.2 プロトタイプシステムから得られた知見
プロトタイプシステムの試行を通じて、プロセスモデルによる協業支援システムは複数プレーヤの協業を有効に支援することができた。このことから、本開発研究における検討の方向性が正しいことを確認した。プロトタイプシステムから得た知見を以下に列挙する。