(エ) エージェント技術の適用
本開発研究では、ワークエレメントのモデル化、特に業務の進行につれて動的に変化する依存関係のモデル化に検討の力点をおいているが、ここまでで述べてきたように、一般に非定型かつ動的に変化する業務プロセスであるワークエレメントについては、仮にこれを表現する能力のあるプロセスモデリングができたとしても、実際にその業務プロセスを記述することは難しい。
このため、本開発研究においては、ワークエレメント同士の依存関係を学習し再利用する手段としてエージェント技術の適用を考えている。言い換えれば、協業支援メカニズムを考慮してモデリングすることがワークエレメントのモデル化には不可欠である。
(3) 協業支援メカニズムの視点から見たプロセスモデルの検討
本開発研究では、プロセスモデルの表現法や記述それ自身を目的としている訳ではなく、プロセスモデルを用いた造船の高度な協業作業をシステム的に支援することを最終的な目的としている。従って、プロセスモデリングの際には、構築したプロセスモデルを用いて、どのような方法で業務の進行を整流化し、効果的な協業支援を行うかというメカニズムを常に念頭に置いてモデル化する必要がある。
特に、前項で述べたように進行中の業務におけるワークエレメント同士の依存関係の学習をエージェントが行うなど、プロセスモデリングと協業支援メカニズムが密接に関連している場合には、メカニズムの観点からのプロセスモデリングが必要不可欠である。以下にこのような協業支援メカニズムの視点から見たプロセスモデルの検討について述べる。
(ア) イベントの概念
先ず、動的に変化するワークエレメントの業務プロセス(特にその依存関係)をエージェントが記述するためには、進行中のアクティビティ内部の作業状態-どのワークエレメントが現在実行中か?-を認識するメカニズムが必要である。