(イ) 業務プロセスが表現すべき情報
業務プロセスが表現しなければならない情報としては、設計コンセプト等の業務の基本方針、他のアクティビティや利用する資源等との依存関係、終了予定日や生成すべきデータ等のアクティビティヘの要求事項、人や設備、あるいはデータ等必要・利用可能な資源の情報等が一般的に考えられる。
また、業務プロセスを制御するために、各アクティビティの作業内容や、所要日数、設備能力、業務の実行環境、更には結果のフィードバック等が表現できなければならない。これらの考えに基づくと、業務プロセスは上記の構成要素を考慮して式3.2-1のようにモデル化できる。
P(t)={A,U,D,R,Q;t} 式3.2-1
ここで:
A:アクティビティ A={a1,a2,...aJ}
U:資源 U={u1,u2,...uK}
D:対象とする製品 D={d1,d2,...dL}
Q:要求事項 Q={q1,q2,...qN}
R:依存関係 R={Ra,Ru,Rd,Rau,Rad,Rud}
t:時間
である。
また、依存関係は更に以下のように細分化される。
Ra:アクティビティ同士の依存関係(実行順) Ra={ra1,ra2,...,raF}
Ru:資源同士の依存関係, Ru={ru1,ru2,...,ruG}
Rd:製品同士の依存関係, Rd={rd1,rd2,...,rdH}
Rau:アクティビティと使用している資源の関係
Rad:アクィビティと使用しているPMのデータの関係
Rud:PMと使用している資源の関係
(ウ) 業務プロセスの時間依存性
ここで注意しなければならないのは、業務プロセスを構成する各アクティビティの作業内容は時間の経過によって動的に変化してゆく点である。業務の開始時点P(t=to)では、式3.2-1に示すプロセスモデルによって業務プロセスを完全に記述することができる。しかし、一旦業務が開始されると(t=to→t)、業務の進行につれて生じる情報の詳細化や変更、あるいは、前工程の進捗遅れなどの種々の原因によって、実行するアクティビティ(A)、使用する資源(U)、対象とする製品(D)、協議・調整が必要な技術者同士の関係や、情報の依存関係(R)、時には各アクティビティヘの要求事項(Q)までもが変更され、実際の業務プロセスは、業務開始前に記述した業務プロセスとは異なったものに変化する。