(4) ケースシナリオとプロトタイプによる検討
プロセスモデリングの妥当性を検証するとともに、具体的な題材を使ってより深い検討を行うため、造船業のある業務フェーズを想定したシナリオ(ACIMケースシナリオ)による机上シミュレーション及び実際にプロトタイプシステムを開発して協業支援システムの試行を行い、その結果をプロセスモデリングに反映した。
3.2.3 プロセスモデルの検討
前節で述べたモデリングのアプローチに沿って、以下の3つのステップでプロセスモデルを検討した。
・アクティビティレベルのプロセスモデリング:
業務プロセスの事前定義が可能な、粒度の大きい業務プロセスを対象とする、いわゆるワークフロー管理に対応するレベルのプロセスモデリング
・ワータエレメントレベルのプロセスモデリング:
業務プロセスの事前定義が困難な、粒度の小さいプロセスを対象とするモデリング
・協業支援メカニズムの観点から見たワークエレメントのモデリング
各々の検討内容について以下に述べる。
(1) アクティビティと業務プロセス
(ア) 業務プロセスの構成要素
一般に業務プロセスを記述するためには以下の構成要素が必要である。
1] 業務プロセス:
ある目的を達成するために実行される一連の作業で、接続関係を持つ複数のアクティビティから構成される。ワークフローとも呼ばれる
2] アクティビティ:
機能や担当者、あるいは、アウトプット等の管理単位に分解された、業務プロセスを構成する1作業単位(Unit of Behavior/UOB)
3] 資源情報:
製品情報(PMのデータ)や人・ツール・設備等の作業(アクティビティ)の実行に必要な資源
4] 依存関係:
アクティビティ同士の先行後続関係や、アクティビティと作業担当者、あるいは、アクティビティで使用する資源情報等の関連情報
業務プロセスは相互に関連付けられたアクティビティのネットワークとして表現され、監視・制御可能な一連(あるいは単発)のアクティビティの集まりとしても考えることができる。