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そこで本年度は、プロセスモデリングのアプローチを以下のように再設定し、プロセスモデルの検討を実施した。

(1) 対象とする業務プロセスの粒度

モデル化の詳細度とシステムによる協業支援機能には密接な関係がある。昨年度の調査結果から、現在市販されているワークフローツールは基本的には比較的大きな粒度で業務プロセスをモデル化しているため、ごく一部の定型業務(例えば図面承認状況管理)しかシステム支援できていないことが分かっている。

一方、前節で整理した現状の課題を解決し、技術者同士の協業をシステム的に支援するためには、より詳細なレベルでの業務プロセスのモデル化が必要不可欠である。これらのことから、本年度も昨年度と同様詳細な業務プロセスに検討の主眼をおいた。

(2) モデルの階層

昨年度は、プロセスモデルをモデリングの視点(扱うプロセスの粒度)によって4つの階層に分けたが、本年度はこの分類を、業務プロセスの記述の難易度という観点からアクティビティとワークエレメントの2階層に分類し直し、各々のレベルで協業支援の視点からプロセスモデルの構成要素を明確にしてモデル化を進めることとした。ただし、両者は密な関係を持つ統一的なプロセスモデルである。

昨年度の分類では、業務プロセスの記述が比較的容易な粒度の大きい業務プロセスであるビジネスレベルとマネージメントレベルがアクティビティに対応し、業務プロセスの記述が困難な粒度の小さい業務プロセスであるエンジニアリングレベルとプロセデュアレベルがワークエレメントに対応する。

(3) エージェントベースの協業支援メカニズムと連動したプロセスモデル

一般的に、業務プロセスのモデル化とそのモデルを利用したメカニズムには密接な関係がある。本開発研究においては協業支援メカニズムの中核技術としてエージェント技術が有効であると考えており(詳細は3.4以降に示す)、この検討と連動してプロセスモデルを検討した。

例えば、後述するように事前に記述できないワークエレメント(プロセデュア)同士の依存関係を、技術者同士の通信ログからエージェントが自動的に記述することを考えているが、この処理が実現できる構成をプロセスモデルに反映する必要がある。

 

 

 

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