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このように、プロセスモデルを利用した作業の協業支援システムの実行ループ(図の中間の中ループ)は、フィードバック制御システムに非常によく似ている。ここで、プロセスモデルは参照情報あるいは次の作業ステップへの入力として利用され、プロセスの監視情報は次の作業指示を生成するためフィードバックされる。

 

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図3.1-2 プロセスモデルを利用した協業支援システムの全体運用イメージ

 

エージェントが収集した実行プロセスの履歴情報は、実績に基づく長期的なプロセス知識やテンプレートの改良にも利用される(外側の大ループ)。すなわち、収集した実行プロセスの履歴情報は、プロジェクト終了後にオリジナルのプロセスモデルと比較・評価され、より良い業務プロセスに改良される。また、この情報を整理・体系化することにより業務知識の共有と標準化が推進される。

一方、実際の作業においては、各作業者は緊密な情報交換を行いつつ動的に作業を進めているわけであり、業務プロセスとして事前に定義できるメッシュよりも細かいレベルでの協業を行っている。図において内側の小ループはこれを意味しており、刻々と変化する技術者を取り巻く環境の変化の中で、技術者間の相互調整が繰り返し行われる部分である。高度造船CIMではこの部分にエージェントが特に有効であると考えている。

このように、高度造船CIMで目指す協業支援環境は、長いタイムスパンでの業務プロセスの蓄積と改良、ワークフローレベルの管理と協業支援及び動的に変化する詳細レベルの作業者間の協業支援も可能とするものを考えている。

 

 

 

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