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(3) プロセスモデルによる設計工費削減の目標

ここでは、設計作業に焦点を合わせ、プロセスモデルを利用することによって設計作業のどの部分の工費削減を目指すのかについて考察する。

まず、設計の全作業量は下式のよう製品機能・構成を決めるための設計本来の作業と他の設計者との調整作業の和として表現される。

TW=PW+CW  式3.1-1

ここで:

TW:Total Work(製品設計の全体作業)

PW:Production Work(設計本来の作業)

CW:Coordination Work(他の設計者との調整作業)

設計本来の作業であるPWは、更に次のように分解できる。

PW=FWo+PWr  式3.1-2

ここで:

PWo:Original Production Work(後戻りが全く無い場合の設計作業)

PWr:Production Rework(後戻りによる修正作業)

一方、調整作業CWは、下式のように分解される。

CW=CWc+CWt+CWw  式3.1-3

ここで:

CWc:Communication Work(設計者の情報交換と調整のための作業)

CWt:Task evolved from coordination(調整結果により生成された付帯作業)

CWw:Waiting(作業待ち)

従って、上記の設計作業の各構成要素を作業コストに換算すると次式の通りとなる。

TWC=PWC+CWC+SWC  式3.1-4

=(PWCo+PWCr)+(CWCo+CWCt+CWCw)+(SWC)

ここで:

TWC等の末尾の方"C"はCostを意味し、各構成要素は式3.1-1から式3.1-3による

SWC:Slack Cost(設備原価消却など設備が遊んでいる時間帯でも発生するいわゆる無駄コスト)

プロセスモデルによる協業支援システムは、設計チームメンバー間の作業状況に関する情報交換と業務フローを整流化することによって上記の式3.1-4において、後戻りによる修正作業コスト(PWCr)と設計者間の調整作業コスト(CWC)の削減を主なターゲットとするものであると言える。

 

 

 

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