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2.3.8 既存アプリケーション(Legacy Applications: LA)

現在、各造船所では既存CADシステムなど多くの業務支援アプリケーションが稼動しており、実用に供されている。これらはいずれもACIMリファレンスアーキテクチャに基づいておらず、そのままではORBを介してオープンな世界との情報交換ができない。しかしながら、これらの実稼動しているアプリケーションの存在を無視して高度造船CIMを構築することは現実的ではないのは明らかであり、何らかの手段でACIM環境に適合させる必要がある。既存アプリケーションをORB対応とするために付加するソフトウェアをラッパー(Wrapper)と称し、このプログラムを介してLAからGFやACFのサービスを利用することが可能となる。逆に、既存アプリケーションが有する機能を、ORBを介してネットワーク上の他のコンポーネントが利用することも可能となる。

ラッパーを付加することで、造船所で稼動している多数のアプリケーション資産を開放的な分散オブジェクト環境の下に統合化できるメリットは大きく、ORBを利用する利点の一つである。また、これにより既存アプリケーションの機能を将来にわたり存続させることも可能となる。

 

2.3.9 ACIM共通サービス機能(ACIM Common Facilities: ACF)

(1) ACF

ソフトウェアコンポーネントは、造船業固有のスキーマ(FLの論理構造)に依存したサービス群と、それには依存せず、どの業種のアプリケーションからも利用可能な共通サービス群に大別される。ACFは、後者、すなわち造船業のスキーマに依存せず、高度造船CIMで使うアプリケーションに共通して利用できるサービス群である。

(2) ACFの開発方針

ACIMリファレンスアーキテクチャの一つの特徴は、市販ツール等の外部アプリケーションに対してラッパーを付けることで容易にACIM環境に取り込むことができるということである。それで、ACFもサービスを全て作り込むのではなく、利用可能な市販の汎用ツールはどんどんシステムに取り込んで利用しようという考え方をとっている。このように外部アプリケーションを容易に取り込む仕組みを持っているので、利用可能なサービスの増加や改訂など利用環境の向上を容易に行うことができる。

一方、本開発研究ではPM管理支援やエージェント支援など高度造船CIM固有の支援ツールも用意することとしており、これらは造船業のスキーマとは独立のサービスで、ACFに分類される。これらは協業支援環境構築に不可欠なものであるとして開発し提供される。

(3) ACFの実現レベル

実現へのアプローチについて示した通り、ACFサービス群は、主として本開発研究で開発する検証用アプリケーションと知識共有テストアプリケーションを構築するうえで抽出された共通機能をサービスとして実装する。

 

 

 

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