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本開発研究において構築する実用レベルアプリケーションは、工作関係の2つのアプリケーション(初期生産設計及び工程設計)であるため、前述の理由によって、ここからはDFFへのニーズがあまり浮かび上がってこない。設計関係のアプリケーションは開発対象ではないのでDFFの候補をリストアップするのは難しいが、DFFとしてあらかじめ関数を用意しておくと便利な機能の候補としては以下に示すようなものが考えられる。

(ア) 複数の属性の同時設定

FLでは属性を設定するメソッドはOntoEditorが自動的に生成するアクセサーとして定義される。しかし、これらのアクセサーはそれぞれの属性を個々に設定するものだけであり、複数の属性をまとめて設定するようなメソッドは存在しない。詳細構造パターンなどの場合は全ての属性が一度に設定されるのが普通であり、必要な属性を全てまとめて設定できる関数が存在すれば便利であると考えられる。

(イ) 区画の階層定義

GFとしては、区画の定義と区画の階層定義のメソッドがそれぞれ単体で存在するが、区画間の階層関係を自由に定義できるように両者を組み合わせたメソッドは用意していない。しかし、造船では数十個もあるタンクを別々に定義するよりも、ホールド区画を例えばNo.1からNo.6の各ホールド区画に分割し、更にそれらの区画を左右舷それぞれのカーゴオイルタンクとバラストタンクに分割すると考える方が自然であるし合理的である。それで、区画の定義と同時に区画の階層化まで行うような区画分割機能をDFFとして用意されていると、アプリケーションはその関数を呼ぶだけで済むことになる。

(ウ) 多対多の貫通関係定義

GFでは、部材間の貫通関係を被貫通部材1個と貫通部材1個の間で定義するようになっている。一つの板材を2つの板材が貫通して被貫通部材が3つの子部材に分割されるケースの場合、まず被貫通部材を貫通部材のうちのどちらか一方で分割して2つの子部材に分割する。次に、その2つの子部材のうちもう一方の貫通部材と交差する方をその貫通部材で更に2つの子部材に分割するという手順になる。このケースの場合、どちらの貫通部材で先に分割するかによって生成される親子関係が異なってしまう。従って、2つの貫通部材が対等または貫通関係を定義した順番とは異なる場合は、一旦親子関係を解消してそれを構築し直す必要がある。これらの一連の処理を行うような関数が用意されていると、アプリケーションごとにこのような処理の実装を行う必要が無くなり、アプリケーションが効率的に開発できる。

 

 

 

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