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2.3.6 造船業固有機能コンポーネント群(Domain Function Facilities: DFF)

(1) DFF

造船業固有のアプリケーション開発に必要な機能群の集合であり、造船業のオントロジに基づく各種サービスを提供する。FLを利用したアプリケーションを実現するために必要な多数のサービス群の集合体である。サービスの内容は、対象とするアプリケーションの種類と機能に依存したものであるが、これらのサービスは単に一つのアプリケーションだけに利用されるのではなく、複数のアプリケーションで共通に使用される場合もあり、更に、DFF内の他の関数からも利用されることがある。

(2) DFFのサービス

本年度の検討から、DFFのサービスは大きく下記の2種類に分かれることが判明した。

1] 複数のGFサービスを組み合わせることにより、アプリケーション開発に必要な機能を提供するもの

2] PM情報をアプリケーションのビューに変換して利用する

なお、GFをLate Bindingとして実装したことから、ACIM FLで持つ全てのメソッドは、GFのサービスとしてCORBAの世界でも利用可能となっている。ACIM FLのメソッドには、指定したブロックのタイプ別の溶接長を計算したり、中間製品の重心座標を求めるなど比較的大きなサービス機能がある。これらは本来DFFに入っても遜色が無いサービス機能であるが、先に述べたLate Bindingの手法によったのでGFのサービスに含まれていることに注意が必要である。

(a) 複数のGFサービスを組み合わせるもの

GFとしては、アプリケーション構築における自由度を高めるために、比較的粒度の細かいメソッドが多数用意されており、アプリケーション開発者がそれらを組み合わせることによって目的の処理を実行できるように考えられている。しかしながら、アプリケーション構築の自由度を高めるということは、逆にアプリケーション開発の負荷が増すことを意味する。GFの一つのメソッドでは実現できないが比較的よく利用される機能を、複数のGFを組み合わせるなどして一つの関数で実現できるようにし、それをDFFとして用意しておけば、アプリケーション開発者の負荷を軽減することができる。

設計関係のアプリケーションにおいては、形状の決定に代表されるように、情報の依存関係や定義が明確なものが多く、かなりの情報を人間が途中で介在することなくPMが単独で決定することができ、まとまった処理を事前に準備することが可能であり、これによりアプリケーションの構築が容易になる。一方、工作関係のアプリケーションは、人の経験に基づく判断や、コンピューターに識別させることが難しい情報に基づく判断を必要とするものの比率が高く、PMに保存されている情報から結論を導き出すことができないものが多いので、工作関係のアプリケーションは、まずPMから必要な情報を取り出し、アプリケーション内で知識ベースを利用したり、高度なユーザーインタフェースを用いて人間の判断を仰いだりして決定した結果をPMに格納するといった形態が多くなるため、DFFとしてまとまった処理を事前に準備する必要性があまり高くはなく、このカテゴリーに含まれるサービス群は少ない。

 

 

 

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