2.3 ACIMリファレンスアーキテクチャの具体化
前述のように、分散オブジェクト技術CORBAは、ネットワーク上に分散しているアプリケーションやデータを、コンピューターの機種やOS(オペレーションシステム)に依存することなく統合化し、知識共有の実現を可能とする情報技術である。昨年度はCORBAを基盤とした高度造船CIMのシステム的な基本的枠組みを示すべく精力的な検討を行い、その結果として「ACIMリファレンスアーキテクチャ」を策定した。
図2.3.1に、提案したACIMリファレンスアーキテクチャを示す。このアーキテクチャは、2.2で述べたOMGにより提示されているCORBAに基づくアーキテクチャであるOMAを参考にしつつ、以下のような高度造船CIMに特有な要件を考慮して策定したものである。
1] 高度造船CIMでは、船という製品に関する知識を表現したPM及び業務プロセスに関する知識を表現したプロセスモデルが、知識共有の中核モデルである
2] 分散環境における高度な協業支援を行うためには、多くのアプリケーションで共通して利用可能な汎用的かつ高度なユーザー支援機能が提供されるべきである
3] 構造設計や配管設計など造船業固有の業務をPMに基づいて効率的に支援するソフトウェアコンポーネント群を、段階的に整備・拡充できる必要がある
4] 既存CADシステムなど造船所において実業務に適用されている様々な既存アプリケーションとの連携は実用上重要である