このアーキテクチャでは、ファシリティやサービスなどのソフトウェア機能コンポーネント群をその機能的位置付けから8つのカテゴリーに分類している。CORBAはそれぞれのカテゴリーに含まれる各機能コンポーネントをつなげる通信メカニズムとしての役割を担う。
本年度はまず、このリファレンスアーキテクチャをより適切なものとするべく若干の見直しを行った。次に、このリファレンスアーキテクチャ実現へ向けてのアプローチを検討し、このアプローチに従って各カテゴリーに含まれるべきサービス機能とソフトウェアコンポーネント群を個々にリストアップした。更に、これらのソフトウェアコンポーネント群の一部を実装した。
高度造船CIMの分散環境に対応して新たに開発される各種アプリケーションは、本リファレンスアーキテクチャに示されるように、ネットワーク上に分散した各種ソフトウェアコンポーネント群を組み合わせることにより効率的に開発される。
2.3.1 リファレンスアーキテクチャの見直し
リファレンスアーキテクチャの具体化を進めて行くに際し、造船の高度な協業作業の支援環境という高度造船CIMのシステム的枠組みをより適切に表現したものとするための見直しを行った結果、下記2つのカテゴリーを新たに追加することとした。
・ワークフロー管理機能群(WfNF)
・拡充されていく市販ソフトウェアと各種サービス機能群
このうち、ワークフロー管理機能群は、ACIM環境におけるプロセスモデルの重要性を明確に独立したカテゴリーとして示す必要があるとの判断から追加したものである。本開発研究では、造船に関する知識を表現するものとして、PMとプロセスモデルが中核であるとの立場を取っており、この意味でも両方のモデルを併記することは妥当であると考えられる。WfMFに含まれる機能コンポーネントの一部は、昨年度の開発研究で示したリファレンスアーキテクチャにおいてGPME Facilities(GF)とACIM Common Facilities (ACF)に含まれていたものである。
一方、拡充されていく市販ソフトウェアと各種サービス機能群を含むカテゴリーは、PDM・ERP・データベース等の市販ソフトウェアパッケージのCORBA対応化が進んでいる現状と将来的にも整備されていく状況を考慮して新たに追加したものである。ACIMリファレンスアーキテクチャの基盤であるORBは、元々市販の良質なソフトウェアコンポーネントを容易に連係でき、それらの機能向上のメリットを最大限に享受することを視野に入れており、この意味で市販ソフトウェアの存在を明確に示すこととした。