3.2 NSRにおける氷況の数値予測システムの研究
3.2.1 検討対象システム
昨年度に引き続き、NSR航海中の航路決定を支援するための、氷況予測システムの研究を行った。システムが有する機能として以下のものを想定し、そのために必要な技術を開発するとともに、将来課題を明らかにした。
(1) 氷海航行支援ツールとして使用するためには、データ取得からデータ入力、予測計算、結果出力までの全体の時間を可能な限り短くし、操作も単純に、しかも見易い形で結果を表示する必要がある。そのため、人工衛星による氷況データを初期値として、数日間の氷況を予測するシステムを、検討対象とする。
(2) 場合によってはシステム全体を船に搭載できる様な、コンパクトなものとする。
(3) そのため、使用する計算機もパソコン、ワークステーションクラスとし、予測期間は一週間までとする。
(4) 流氷予測モデルとしては、非定常計算ができる上に計算時間の短いDMDFモデル(東大モデル。非定常の基礎式を解く上に、微分方程式を数値積分する形で定式化されているため、計算が速い)とする。本研究の範囲内では、熱による氷の融解・成長は考えない。すなわち、図3.2.1の様なシステムを検討対象とする。