2.3.6 WP-5 Collection of SA-15 Operation Data
【目的】
SA-15はロシアULAクラスであるが砕氷能力を有する15,000DWTの多目的砕氷貨物船で、幅広い種類の貨物を北極海沿岸地域で通年にわたって輸送することを目的としている。WP6及びWP8で実施されるNSR運航シミュレーションの結果を検証するために、多目的砕氷貨物船SA-15のこれまでの運航データを収集し、体系的にまとめる。
【成果概要】
(1) 実船試験における氷中推進性能と氷の衝撃力や船体へのダメージが解析された。実船試験では、連続砕氷航行の最低速度は氷厚130cm+積雪20cmの状況で0.5knots(90%MCO)と評価され、また氷厚60cmの一年氷中の旋回直径は1400m、旋回所要時間は2700秒という操縦性能が確認されている。氷中試運転では9〜11MPaの最大氷圧力が観測されたが、ラミング時の厳しい状況では25〜30MPaにも達するとも考えられた。
(2) 船長レポートから氷況と航行の形態や航海速度が表に整理されている。これらのデータを基にして氷の密接度と航海速度の関係や、氷厚と航海速度の関係がチャートに整理された。
(3) 北極海ロシア沿岸地域での砕氷船のエスコートの効果について、SA-15のchannel中での性能も考慮した評価を行った。
(4) NSRでのSA-15の航海実績から、SA-15クラスの貨物船では、NSRのtransit route及び東部の航海では、年間およそ10.5ヶ月の砕氷船のエスコートが必要であり、またNSR西部の航海では約9ヶ月の砕氷船エスコートが必要と考えられた。
(5) これまでの氷によるダメージの統計データを考慮して、SA-15クラスの船の船体構造の改良について提案を行った。