2.3.7 WP-6 Ship Transit Velocity Simulation Algorithm
【目的】
(1) WP1及びWP2より与えられる選定航路と氷況(平坦氷、流氷、氷丘等)に対する氷海商船の船速分布を出力するコードを開発する。
(2) 開発した船速コードを実船データにより検証する。
【成果概要】
平坦氷、氷丘、流氷中での船速を推定するシミュレーションコードを開発し、実船データによる検証を行った。
(1) 船速シミュレーションコード
・各氷況の抵抗が船の発生するスラスト(全スラストから平水中抵抗を除したスラスト)に等しいと仮定して船速を導出する考え方を採用した。
・平坦氷の抵抗はLindqvistの式を用いて求められた。開水中での船速は船の航海速力とした。
・氷丘中の船速は分布で求められた。氷丘はランダム関数を用いて造られた氷丘高さ、凍結層及び間隔によりモデル化された。氷丘間に存在する平坦氷の抵抗及び氷丘凍結層の抵抗は、Lindqvistの抵抗式を用い、氷丘のみの抵抗は、Malmbergの式を用いて求められた。
・流氷中では氷盤の大きさは、確率分布で与えられモデル化された。抵抗値はLindqvistの式を用いて求められた。
・各氷況中での平均船速を求めるアルゴリズムはFORTRANを用いてプログラム化された。
(2) コードの検証
コードの検証はロシアの砕氷貨物船SA-15及びフィンランドの小型耐氷船MS Kemiraの実船データを用いて行われた。氷厚を変化させた検証では、平坦氷中での船速は良く一致するが、流氷中での船速は実船よりも約2ノット過小に推定される事が解った。これは流氷のモデル化がまだ不完全な事に起因している。氷丘については、氷丘突破時の船速の時系列変化についてほぼ良好な一致が見られた。