【我が町"蟹江町"】
蟹江町は、愛知県の西南部、濃尾平野の南沿岸部に位置し、東西三・五km、南北六・〇kmと縦に細長い町で、四つの河川が流れており最南部で合流して伊勢湾に注いでいる。これらの内水面の総面積は、全町域の四分の一を占める水郷地帯で、全町域が海抜ゼロメートル地帯である。
「カニエ」の地名は、一三世紀始め、一面を海に囲まれたところで海辺に柳が茂り、多くの「蟹」が生息していたことから「蟹江」と呼ばれるようになり、戦国時代は、伊勢湾の海上交通路の要衝地として盛んなものであった。明治二二年には町制が施行され、現在の「蟹江町」が誕生した。
近年には五五度の豊富な湯が湧き出し泉質の良いことで有名な尾張温泉、佐屋川でのヘラ鮒釣りの観光地として、また、兄弟横綱を輩する二子山部屋、若松部屋と相撲部屋のある町としても有名である。
【水郷の里を守る!】
消防本部の発足は、昭和四六年四月一日で、現在管内人口は約三七、〇〇〇人、一本部、一署、一出張所五二人の職員と一本部、一〇分団二五三人の消防団員とで郷土の安全と安心を守るために日夜頑張っている。
過去五年間における火災・救急発生件数の平均は、火災二二件、救急九五四・二件であり、救急件数は、平成一〇年には一、〇六六件となり、ますます救急業務への比重が多くなってきている。
【バイスタンダーをファーストエイドマンに!】
主に救急隊長として活動している黒川消防士長は、平成八年五月横浜市において開催された第一九回全国消防職員意見発表で、みごとに優秀賞を受賞した。救命率の向上に際し、バイスタンダーの持つ重要な役割について問題提起し、今後、どのようなことをしたら、バイスタンダーをファーストエイトマンに変身させることができるかについての意見発表を行った。そして現在、第一線で救急救命士として活躍する一方、応急手当の普及啓発を始めとした積極的な取り組みは、着々と家庭、そして地域の中へと根付いてきている。
【地区自主防災会と署・団合同訓練】
この訓練は、地震等に起因する各種災害の発生を想定し、防災関係機関、町内自主防災会及び住民等が連携協力して実施することにより防災体制の確立と防災意識の高揚を図ることを目的としている。今回の訓練内容は、平成一〇年五月中句から下旬、地域を三ブロックにわけ、午後八時、地震に伴い同時多発火災が発生したとの想定による夜間訓練を行った。地元消防団、自主防災会及び住民等が一体となった円滑な活動が展開され、より一層の防災体制の充実をお互いに確認し、火災のない安心して暮らせる町づくりに余念がない。(写真参照)
【オールマイティー!】
小池章消防長は、消防本部と住民とのかかわりについての大切さを常々訓示しているという。「消防本部を訪れる相手の人がどういう気持ちでいるか、一一九番をかける人がどういう心境にあるのか。プロとしての心づかい・気づかいが大切であり、常に相手の立場に立って物事を考え、仕事をやらねばならない。そして、小さな消防本部であるがゆえ、マンネリになる可能性が否めないが、少数ですべてをこなす、オールマイティな消防人になれ!と口では常日頃からうるさく言うが、心では職員に対し大変感謝している。」と穏やかに語られた。
「水郷の里」と呼ばれ、川とともに生きてきた蟹江町を安全ですこやかに暮らせる町として守り続ける少数精鋭の消防人の力強さと優しさに感銘を受けた。
(小澤 純一)