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By-Stander用携帯心臓マッサージエプロンの考案について

坂田郡消防本部 堀居 秀徳

 

関発内容

救急蘇生の現場で、By-Standerの存在は必要不可欠な要素です。

しかし、CPR指導によって、その知識を身につけた市民が増えたとはいえ、実際の救急現場でBy-Stander CPRが行われているケースは依然少ないのが現状です。実践されない心理面での理由の一つが、頭の中ではBy-Stander CPRの有効性・必要性は十分理解しているが、「講習受講後の月日の経過に伴う手技に関する記憶の曖昧さ」というものであり、このことが、実践の場で活用されない大きな要因と考えられます。

ところが、一一九通報時にCPRの手順を通信指令室員が口頭で指導すると、高率でBy-Stander CPRが実践されている現状があります。このことは、忘れかけていたCPRの手順をポイントを押さえた形で提示し、ちょっとしたきっかけを与えてやるだけ、スムーズに実践される証だともいえます。このような点に着目し、今回機器の開発を具体化しました。

最初に申し添えておきたいと思いますが、今回開発した機器は、昨年、富山県(東近畿)から発表されたエプロンの裏にCPRの手順を記載し、万が一の事故に備えるというものとは基本的に異なり、類似品ではないことをお断りしておきます。

今回開発した機器は、携帯性を重要視し、エプロン(救急法指導用蘇生人形のディスポ肺を利用)上に、CPRの基本的手技及び肋骨弓の形状並びに左右の肋骨弓の交点から割り出した心臓マッサージの圧迫点を最初から図示し、当該エプロンを直接患者の胸に張り付けるだけの簡単な方法で、CPRへの導入を図ろうとするものです。また、心臓マッサージのリズムを自動で発し、さらには、CPR実施時のエプロンずれ防止用として、粘着フイルムで胸に固定できるようにもなっています。

 

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開発の効果

自らの知識として覚えたCPRの記億が例え薄れても、胸に張り付けるだけという至って簡単な方法により、CPRの手順・心臓マッサージの圧迫点とそのリズムをBy-Standerの視覚・聴覚に訴えることができることから、今までCPRの必要性・重要性を認識しながらも、その手順に自信がなく実践できなかったBy-Standerにとっては、勇気を持って実践できる有効なアイテムになり、救急蘇生現場での早期By-Stander CPRへの確実な導入が図れるものと確信します。

 

 

 

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