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下五島はいにしえから中国大陸との結びつきが深く、遣唐使船が風待ちをした日本最後の寄港地でもあり、八〇四年に唐をめざした空海を偲んで建立された石碑には、日本の最果てを去るという意味の「辞本涯(じほんがい)」の文字が刻まれている。

また江戸時代、キリシタン禁教令により迫害を受けたカトリック教徒は数多く五島へと移住した。現在も数多くの教会があり、信徒は毎日敬虔(けいけん)な祈りを捧げている。

このように仏教文化とキリスト教文化がみごとに調和した異国情緒豊かな風土である。

下五島消防本部の消防体制は、昭和四八年四月、一市五町(福江市・富江町・岐宿町・三井楽町・玉之浦町・奈留町)で構成される広域消防本部として発足した。

管内人口は五一、二九五人、面積四二〇・一七km2、一本部・一署・六出張所・職員九三人消防車両二三台で日夜住民の防人(さきもり)として消防業務に従事している。

今回紹介する救助活動事例は、玉之浦町大瀬崎灯台(海抜八〇m)の断崖から自殺企図の可能性が高い転落遺体の収容事例である。

 

一 事故概要

(一) 発生日時

平成一〇年四月三日午前中(推定)

(二) 覚知日時

四月四日一八時〇六分 加入電話

(三) 現場到着日時

四月四日一八時二六分

(四) 救助開始日時

四月五日八時五〇分

(五) 救助完了日時

四月五日一〇時四三分

(六) 要救助者状況

男、三〇歳 死亡

(七) 出場車両(船舶)

消防署 三台 一〇人(救助工作車・ポンプ車・調査広報車)

警察署 五台 警備艇一隻 二〇人

消防団 三台 一〇人

町役場 一台 三人

民間 瀬渡船一隻 四人

(八) 使用器材

舟形担架・降下ロープ・確保ロープ・スリングロープ・カラビナ・毛布(ロープ保護・要救助者保護)

 

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