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(四) 消火活動の概要

当直司令の下命にて、負傷者の確認及び船底進入に呼吸器着装、複数行動また各ポンプ車隊は、単独消火体制の指示にて岸壁から吸管を投入し消火体制をとった。

本署隊及び番の州隊は、右舷のクレーン横のハッチより中甲板へ、さらに船底に降りた。木箱入りのプラント製品等から盛んに油煙を発し炎上中を確認した、隊員六人で二口放水して消火にあたった。

煙と熱気と蒸気で面体が曇り、有効注水が出来なかった。

同場所船内消火栓で消火中の作業員が顔面火傷を負ったため、救助隊員二人で応急手当を行い、救急車に引継ぎ搬送した。

分遣所隊は、中甲板・南部隊は上甲板より放水を続けること約四〇分、火勢と煙は衰えず、船倉内はさらに延焼が続く状況であった。

一六時十三分、現場指揮本部で作戦会議を実施、船舶図により消防署長、海上保安署次長、一等航海士と罹災船舶の安全を確認し、出火部の船底へ大量放水を実施することとし、その間消火作業は継続した。

船舶上の消防職員を補助消火隊とし、一六時五四分、大型高所放水車毎分三t、消防艇毎分六tで放水を開始、約七〇分放水後、船底より白煙に近い状態になり、一旦放水を停止し、再度関係機関と作戦会議を開き中甲板の開放を決定、デッキ・クレーンで中央のポンツーンを吊り上げ安全のため固定した。

再度大型高所放水車、消防艇で大量放水を行い、一九時一三分に鎮圧状態になり、一九時五二分に船底の残火に注水を実施し、二〇時一三分完全鎮火に至った。

 

三 活動上の問題点及び教訓

(一) 船舶火災における消防活動の制約

船舶火災の下部船倉火災では、進入口等が制限され、濃煙・熱気の排気状態が悪く、視界不良の中で長時間の消防活動は、消火作業の継続が(空気呼吸器の所要時間、高温現場での消火作業の部署等)困難であるため、短時間で職員交替を行なう必要性を痛感した。

(二) おわりに

昭和四六年三月一日、坂出市長・坂出海上保安署長との業務協定書を締結しており、船舶火災において、相互の意思の決定、協力、円滑な消火活動が実施できたと思慮される。

近時の社会情勢を反映し、複雑かつ大規模化の傾向を強める特殊災害に対するため、施設・装備はもとより、隊員の資質の向上を計り、住民の安全を確保することが使命であり、坂出市消防本部一丸となって取り組んでいる現状である。

(西谷 健二)

 

救助

自殺企図疑いの転落者救助

下五島地域広域市町村圏組合消防本部(長崎)

 

はじめに

下五島は長崎市から西へ約一〇〇kmの洋上に位置し、五島列島の南半分を占め大小数多くの島嶼(とうしょ)からなり、大別して福江島、久賀島、椛島、奈留島の四島がある。福江島は福江市(久賀島・椛島を含む)、富江町、岐宿町、三井楽町、玉之浦町に区分され、奈留島は奈留町単独である。

 

 

 

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