火災
船舶火災
坂出市消防本部(香川)
はじめに
坂出市消防本部は、香川県中央北部に位置し、瀬戸内海国立公園の中心部である塩飽諸島を北方海上に擁し、市の西方聖通寺山には常盤公園、これよりの眺めは実に多島海美が自然に調和されて、人の目を見晴せ、世人の注目するところとなっています。
昭和六三年四月今世紀の大事業である瀬戸大橋が開通してから一〇年、平成一〇年四月明石海峡大橋が続いて開通、平成一一年春には西瀬戸自動車道が完成すれば、本州四国二橋ルートの、新しい世紀を迎えようとしています。
当管内の面積は、消防事務委託の宇多津町を含め、約一〇〇km2、人口約七六、〇〇〇人、一本部、二分署、一分遣所、職員七四人体制で、地域住民の安全を守っています。
ここに紹介する火災事例は、坂出市林田港における船舶火災で、出場より帰署まで約五時間を要した火災であります。
一 火災の概要
(一) 発生日時
平成一〇年一月一四日(水) 一五時三〇分頃
(二) 発生場所
坂出市林田町字番屋前、四二八五番地一七五号地先 林田港A号岸壁
(三) 覚知時刻
一四日 一五時四八分
(四) 鎮火時刻
一四日 二〇時一三分
(五) 気象状況
天候雨、風向北東、風速四m、気温七・三℃、湿度七〇・六% 強風波浪注意報発令中
(六) 負傷者
中等症一人
(七) 被害状況
オランダ船籍重量物運搬船プロジェクト・ヨーロッパ号総屯数九、七五七屯隔壁及底板・韓国向けプラント製品、木箱で梱包された熱交換機一式、焼失面積二八七m2
(八) 損害額
船舶損害約六〇〇万円、積荷損害約二二、○○○万円 合計約二二、六〇〇万円
(九) 原因
ガス切断作業中の火花による出火
(一〇) 出場車両・船艇及び人員
消防本部・署・消防団 車両二一台・人員九四人
坂出海上保安署(高松・水島海上保安部応援出場) 船艇六隻・人員七五人
(一一) 全放水量
海水・一、五三五m3
二 活動概要
(一) 通報内容
一四日一五時四八分、林田港停泊中のオランダ船プロジェクト・ヨーロッパ号九、七五七tに火災発生、詳しい状況は分からないと坂出海上保安署より通報があった。
(二) 出場途上における状況
直近の分遣所から現場まで、約三kmで出場途上現場方向前方に、黒煙を視認し、黒煙発見と本部に無線連絡。出場中の各隊は無線を傍受し、発災船が停泊中の林田港に現場到着した。
(三) 現場到着時の状況
発災船は、舳先を右側に係留され船首操舵室左側船倉内より、煙が噴き上がっていた。乗船すると船倉内甲板の結合部から煙が噴出して、何が燃えているのか分からず上甲板に居た作業員に事情を聞くと、訛りの強い英語と手振り等で船底で木箱梱包のプラント製品等が燃えているとの報告を受けた。