
・ 津波と防災体制の整備
三方を山に囲まれた独特のリアス式海岸の地形は、海の恩恵がある反面、明治二九年と昭和八年の三陸沖地震津波、そして、昭和三五年のチリ地震津波など再三にわたる津波を経験、そのたびに大きな被害を受けてきた。そのため防災に対する住民の意識は高く、大切な生命と財産を守るため、市町では住民と地域が一体となった総合的な防災システムの整備を図っている。管内には津波災害に備え海岸線に沿って、防潮堤ができており、水門の開閉もスムーズに行えるよう定期的に訓練を実施している。また、釜石湾については沖合い二km地点に長さ一・六kmにわたり、湾口防波堤が建設中で、津波の被害も大幅に軽減されるものと期待されている。
一方を海に三方を山に囲まれ、管内面積の八割が山林と、平地が少ない狭隘の土地に集落が散在し、山林が人家の側まで追っており、急勾配の斜面と、冬から春先にかけて季節風が強く火災防御上からも難しい地域でもあり、過去において幾度となく苦い大火の経験があった。そのため、火災予防に重点をおき建物は勿論のこと、山菜取りのシーズンには山道まで入り山火事防止を呼びかけている。
・ 出前講座で防災意識の改善
今年の四月から、毎月第四日曜日には職員手作りの教材で、町内会、学校、タクシー会社等の企業も含めて一五歳以上の希望者を対象に普通救命講習会を実施している。また、七月から教育委員会を窓口に、一〇人以上の参加申込があれば「出前講座」ということで消火器の取り扱い、火災予防講話(写真)、応急手当の普及講習等を行い、住民の要望に応えている。
・ 多士済々のメンバーで
職員は交替で、夕方四時からの体力練成時間に合わせて、トレーニングに励んでいる。県下の消防本部対抗野球大会では平成一〇年度も当本部が優勝、国体では、野球の部で準優勝チームに参加の選手、空手の優勝選手、銃剣道大会の出場選手や、市内の駅伝大会に消防チームが優勝、又この秋の神奈川国体のボクシング成年フェザー級では第三位に入賞するなど、限られた人員と時間の中で多士済々のメンバーが活躍している。
・ 広域消防で高度な消防サービスを
最後に湊川消防長は、「広域化を機に弱小本部の弱点を相補い、住民への高度な消防サービスに向けて全職員が一丸となって決意も新たに取り組んでいるところです。幸いガンバリ屋の職員に恵まれており、来年度の消防無線関係の整備や、以後の一分署の増設、一三〇人体制による組織強化を計画的にすすめ、更なる広域消防体制づくりにまい進してまいりますので、皆様方の応援をお願い申し上げます。」と結ばれた。
(飯塚 文治)