ワンポイント
消防職員のための法令用語解説
地方分権推進計画 (二)
五 国と地方公共団体との役割分担のあり方
国は、(ア)国際社会における国家としての存立にかかわる事務(イ)全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務(ウ)全国的規模・視点で行わなければならない施策及び事業を担う。
これに対し、地方公共団体は、地域における行政を自主的総合的に広く担うことにし、国と地方公共団体の役割分担のあり方を明確にした。
そのうえで、地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に適合し、かつ国と地方公共団体との役割分担の趣旨にそったものでなければならないとし、その趣旨にそって解釈運用しなければならないとしている。
また、法令によって処理する自治事務についても、地方公共団体が、地域の実情に応じて処理できるように国は、特に配慮しなければならないとしている。
六 機関委任事務制度の廃止
地方分権の基本的考え方を実現するため、機関委任事務を廃止することとした。
七 地方公共団体の事務の新たな考え方
機関委任事務を廃止し、地方公共団体の事務の新たな考え方として、地方公共団体の事務を自治事務と法定受託事務とした。
法定受託事務は、法律又はこれに基づく政令により、都道府県又は市町村が処理する事務のうち、国が本来果たすべき責務に係るもので、国民の利便性又は事務処理の効率性の観点から都道府県又は市町村が処理するものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものと、同様に、市町村が処理する事務のうち、都道府県が本来果たすべき責務に係るものを市町村が処理するものを定めたものである。
地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務を除いたものが自治事務となる。
自治事務及び法定受託事務に関しては、法令に違反しない限りにおいて、条例・規則制定権がある。
議会の権限については、事務執行状況に係る議会の検閲・検査及び監査請求(自治法九八条)について、従来、議会の権限の対象外とされていた事務のうち、法定受託事務となるものは対象外とし、自治事務となるものについては、地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものに限り対象外とした。
議会の調査権(法一〇〇条一項)については、法九八条の対象外とされる事務に限り対象外とした。
監査委員の監査(法一九九条二項)については、従来監査の対象外とされていた事務のうち、法定受託事務となるものについては、引き続き、対象外とし、自治事務となるものについては、地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものに限り対象外とした。
代執行については、自治事務については、国の行政機関又は知事は出来ない。法定受託事務については、職務執行命令訴訟を経て代執行できることとした。
全消会顧問弁護士 木下 健治