火災
不審火による深夜の商店街火災
周桑事務組合周桑消防本部(愛媛)
はじめに
当消防本部は、愛媛県の東部に位置し、南に西日本最高の霊峰石鎚山を主峰とする四国山地、西に高縄山を背に、東には景観に優れた瀬戸内海国立公園に面した道前平野のほぼ中央に位置し、東予市、丹原町、小松町の一市二町で構成する組合消防である。
管内人口約五九、〇〇〇人、面積二七九・二五km2で主要道路の国道一一号、一九六号が松山市、香川県へ通じ、また平成六年二月から高速道松山自動車道が開通し、平成一〇年度には西瀬戸自動車道開通に伴う高規格道路今治・小松間の供用開始が予定されている。
また、海路は東予港を玄関口として大阪方面へのフェリー発着港となっており、年間を通して関西方面への利用客も多く交通の便には恵まれている。
気候は瀬戸内式気候の為、温暖で降水量が少なく古くから穀倉地帯として有名である。
消防体制は、一本部・一署・一出張所で、職員六四人、各市町の消防団員一、三四二人で住民の安全を確保すべく防災の任に当たっている。
ここに紹介する事例は、深夜に商店が密集して建ち並ぶ地区で発生した火災で、建物五棟が全半焼(全焼四棟、半焼一棟)し、死者一人が発生したものである。
一 火災の概要
(一) 出火日時
平成九年一二月一四日(日) 午前二時三〇分頃
(二) 出火場所
丹原町大字丹原一五二-三
(三) 覚知時間
午前二時三九分(一一九)
(四) 鎮火時間
午前四時一九分
(五) 気象状況
天候 晴れ
気温 二℃
湿度 八五%
風向 南
風速 二m/S
乾燥注意報発表中
(六) 焼損程度
全焼四棟 半焼一棟 ぼや二棟
焼損面積 六五一m2
罹災世帯 五世帯
損害額 六六、四一八千円
死傷者 死者一人 傷者二人
(七) 出火原因
放火の疑い
(八) 出動車両及び人員
消防署タンク車等 六台 二五人
消防団ポンプ車等 二七台 二五〇人
二 付近の状況
現場は、消防署から南へ約八〇〇mのところで幅員約七mの東西通りの両側に商店が続く古くからの商店街として発展していたが、近年は空き店舗が目立つようになった商店街である。
火災現場を中心として、半径一四〇m以内に公設消火栓八箇所、二〇m2の防火水槽一箇所が存在するが、付近一帯は老朽木造建物が密集し、間口の狭い店舗併用住宅が細長く建て混んだ消防対策上、延焼拡大の恐れがある地域である。