日本財団 図書館


◎ 自主防火管理体制の確立

特定文化財対象物の自主防火管理体制を確立するためには、防火管理業務が自主的に行われる体制を確保することが先ず第一であることから、消防法第八条の規定によるもののほかにも、(一七)項対象物については、京都市火災予防条例により、防火管理者を選任する義務のある対象物の範囲を拡大し、その収容人員に関わりなく定めることとしている。また、防火管理者を選任する義務がない特定文化財対象物に対しては、防火管理上必要な業務を行う防火管理担当者の指名を行うよう指導し、自主防火管理体制の充実と強化を図っている。(表4参照)

 

表2 文化財保護法による指定・登録文化財等(数字は指定件数を示す。)

平成10年10月1日現在

007-1.gif

(注) 建造物の重要文化財には国宝を含む。史跡名勝天然記念物には特別史跡名勝天然記念物を含む。

このほか、2市以上にわたるものとして、(天)比叡山鳥類繁殖地、(史)延暦寺境内、(史)琵琶湖疏水がある。

 

表3 京都府・京都市文化財保護条例による指定・登録文化財等

平成10年4月1日現在

007-2.gif

 

表4 (17)項対象物の防火管理者選任状況

平成10年12月31日現在

007-3.gif

 

◎ 消防計画の充実

防火管理者(防火管理担当者)により作成される消防計画は、一般の防火対象物において規定しなければならない各事項のほか、特定文化財対象物に『特有の事項』についても定めておくことが望まれる。

この『特有の事項』としては、例えば、文化財保護法や府若しくは市の文化財保護条例により指定された文化財である美術工芸品等(以下「指定美術工芸品等」という。)が所在する対象物においては、それら指定美術工芸品等について搬出する計画を定めることなどをいうが、そのために、京都市火災予防条例では、指定美術工芸品等の管理について権原を有する者は、搬出計画を樹立する等火災が発生した際、容易に搬出できるようにすることを規定しており、この樹立された搬出計画等については、消防計画に盛り込むよう指導している。

また、消防計画に搬出計画を定めておく対象としては、指定美術工芸品等に限らず、未指定の文化財等(本尊、神体、重要美術品など)についても定めておくことが必要である。

なお、搬出計画に掲げる事項については、おおむね次のものである。

・ 搬出する指定美術工芸品等に関すること。

・ 搬出の組織に関すること。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION