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貴重な文化財を保護し次の世代に引き継ぐために『古都奈良の文化財』が、ユネスコの世界遺産に推薦され、平成一〇年一二月二日に登録が決定された。

● 登録された「古都奈良の文化財」は東大寺・興福寺・春日大社・春日山原始林・元興寺・薬師寺・唐招提寺・平城宮跡の八件で、建造物群・遺跡・文化的景観で構成されている。

このことから文化財関係者と密接な連携を図り防火・防災の核となる文化財専門の担当官(文化財防災官 一人)及び文化財事務担当官一人を消防局に配置し文化財防災対策の強化を図った。

● 主な任務は、次のとおりである。

1] 文化財の防災に関すること

2] 文化財の防災施設の設置及び維持管理の指導に関すること

3] 文化財の予防査察及び防火指導の統括に関すること

4] 文化財の保護関係機関及び関係機関との連絡に関すること

 

二 幼年消防クラブ及び女性防災クラブ結成の推進

幼年消防クラブ・女性防災クラブを、市全域に結成を促進する。

・ 幼年消防クラブ

『僕たち、わたくしたちは絶対に火遊びはしません』の誓いのもと、幼年期における火災予防の認識を高めるため、秋の火災予防運動におけるパレード等各種行事に参加ねがい、また市防災センター及び消防庁舎見学等により防火の大切さを学ぶ。

・ 女性防災クラブ

それぞれの地域性を生かし、各種行事に参加し、『自分たちのまちは自分たちで守る』という自主防災意識の普及推進を図る。

 

三 防火ポスターの募集による防火意識の高揚

毎年夏休みに、市内の小学校高学年を対象にホスターを募集し、最優秀賞三点・優秀賞六点・努力賞九点・佳作一五点を選び、展示会を開催している。

最優秀賞は、春の火災予防運動用ポスターに活用し、学校・事業所等に配布掲示し視覚を通して広く市民に防火をアピールするとともに、防火思想の高揚を図っている。

 

四 消防局マスコットキャラクターの愛称募集

防火パレード等の各種イベントで活躍するマスコットの愛称を、市民から公募し奈良の消防をイメージする親しみやすい愛称

『なっぴぃ』に決定した。

最優秀賞一点・優秀賞三点には記念品を贈呈した。

 

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五 消防音楽隊による広報活動

音楽を通じて広く市民に『消防行政のPR』を合言葉に、市民に愛され親しまれる音楽隊を目指し、技能の向上に努力を重ねている。

隊員は、日常の消防業務を行いながら、楽器が奏でるハーモニーに市民の安全を願いつつ、市制一〇〇周年記念事業等各種行事に積極的に参加し、消防広報活動を続けている。

 

おわりに

今後の予防施策においては、奈良市新総合基本計画に基づき、防火に対する正しい知識の普及と、自主防災意識の育成を図るための、火災予防活動を幅広く展開し、市民一人ひとりの防火意識と近隣相互扶助精神の高揚に努める。

また、防火対象物に対しては、計画的かつ効果的な査察を実施する一方、消防訓練の機会などをとらえて、必要な技術を習得させ、防火管理体制の確立を強力に推進するなどバランスのとれた予防施策を進め市民生活の安全確保に努めてまいりたい。

(中尾 恭久)

 

 

 

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