火災
市衛地での連続放火火災
小樽市消防本部(北海道)
はじめに
本市は、北海道西海岸のほぼ中央、札幌市の北西に隣接し、明治一三年に日本で三番目の鉄道が敷設され、北海道開拓の玄関口として、また国際貿易港として発展してきた商工港湾都市である。戦後日本経済の中心が太平洋側に移行する中で永年厳しい環境が続いていたが、小樽運河埋立の論争を契機に当時の繁栄を偲ばせる歴史的建造物や、落ち着いた街並みが全国から注目を集めるようになり、平成九年度には六百万人を超える観光客が訪れ、観光都市としての側面も持つようになった。面積は二四三km2、人口は約一五万五千人で、海岸線約六kmを有し背面を山に囲まれ東西に細長く市街地が形成されており、一本部一署一支署八出張所職員数二八六人、消防団一八分団五七五人の体制で対応にあたっている。
ここに紹介する事例は、短時間に三次火災まで発生し、三時間以上にわたり消防隊が転戦、消火活動を余儀なくされるという当消防本部がかつて経験したことのない火災である。
本市では、放火又はその疑いによる火災は年間約一〇件、全火災の一七%で推移してきたが、平成九年は、雪解けの進んだ四月後半から放火火災が多くなり、最終的に三七件、全火災の三二%を数えるまでになった。特に七月から九月にかけ一九件が発生する非常事態となり、こうしたなかで九月七日、本件の連続放火火災が発生したのである。なお犯人は、市民の目撃情報から二日後に逮捕されている。
一 火災の概要
一 第一火災現場
(一) 発生日
平成九年九月七日(日)
(二) 発生場所
小樽市堺町四番 飲食店
(三) 時間経過
覚知 二二時二八分
現場到着 二二時三二分
第二出動 二二時三四分
鎮圧 二三時一二分
鎮火 二三時三〇分
(四) 気象状況
天候晴れ 風向北西
風速〇・七m/s
気温一八・五℃
湿度九三%
(五) 焼損状況
木造二階建亜鉛板葺外壁モルタル塗一棟延一二四m2の内二階四〇m2焼損
(六) 出動車両及び人員
消防本部 一〇台 三七人
二 第二火災現場
(一) 発生場所
小樽市色内二丁目一〇番 一般住宅
(二) 時間経過
覚知 二二時三二分
現場到着 二二時三三分
第三出動 二二時三四分
鎮圧 一時三〇分
鎮火 二時〇五分
(三) 焼損状況
木造一部石造二階建一部三階建亜鉛板葺外壁下見板張一棟延六九五m2全焼
木造二階建亜鉛板葺外壁モルタル塗一棟延一五一m2の内一〇五m2焼損
(四) 出動車両及び人員
消防本部 二一台 一一〇人
消防団 二二人
三 第三火災現場
(一) 発生場所
小樽市色内二丁目七番 一般住宅
(二) 時間経過
覚知 二二時四二分
第四 出動二二時四二分