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人を使う人に必要不可欠なリーダーシップのあり方・取り方

マネジメント・アドバイス・センター代表 村田 信夫

 

■ いまリーダーシップに関する正しい認識が必要だ

リーダーシップとは、目的を持って集まった人々の組織であれば、どのような組織であっても見られる。必ずリーダーシップを発揮している人がいる。政治の世界、スポーツ・趣味の会、団地の自治会でも存在する。誰かによって、リーダーシップが機能されているからこそ、その組織が維持されているのである。

実際には存在し、誰かがそれを発揮していながら、しからば「リーダーシップとは何?」と問われると明確に返答し得ない。大変戸惑う。実はそれほどリーダーシップに関する現実の解釈には、多種多様なものが存在しているのである。一般には、統率力とか指導力と理解されているが。しかしこれですべては言い当ててはいないのである。

統率力・指導力という解釈以外に、たとえば、

○ 集団の活動を、集団目標達成の方向に向けさせる全ての機能である

○ 人びとが協力して集団全体の仕事の成果をあげることができるように仕向けるリーダーの働きである

○ リーダーが特定の目的を達成するために、組織目標を明示し、部下の一人ひとりに達成すべき任務を与え、彼らの欲求・期待に応えつつ十分な動機づけをして、組織を効率的に運営し、その目的実現に努力するプロセスである

…などなどがある。これらはみな、言い当ててはいる。が全てではない。

いま、必要な解釈は、つぎのものになることを、この機会に理解しておいてほしい。

それは、

「リーダーシップとは、特定の状況の下で、目標の必達に向けて、コミュニケーションを通じて、(そのプロセスで)発揮する(される)対人影響力とそのプロセスである」ということを。これから、この線に沿って述べていこう。

 

■ ワンベストなリーダーシップ行動はない

ところで従来から、リーダーがメンバーをどう扱い、どのような仕事の与え方をするか、またメンバーの賞賛の仕方をどのようにするかなどから、リーダーシップを民主的タイプ、専制的タイプ、放任的(委任)的タイプの三タイプに分類し、効果的なリーダーシップ・スタイルを研究してきた。

□ 民主的リーダーシップとは、仕事の計画を部下と一緒に立てようとしたり、仕事について部下の意見をよく聞こうとする、仕事の指示をする時には部下にその理由をよく説明しようとする…など、リーダーが目標の設定や仕事の管理に関して部下に相談し、参加させて、一緒に仕事をしていこうとするタイプのことをいう。

この民主的リーダーシップの優れた点は、仕事への動機づけ、独創性の発揮、部下同士の友好性に良い結果をもたらすことだ。

□ 専制的リーダーシップとは、仕事の細かい手順についてまで口を挟もうとしたり、部下のささいな仕事についても知ろうとする、仕事の前面に立って部下を引っ張っていこうとする…など、リーダーが自分に権限を集中して、一方的に指示して仕事をさせるタイプ。

□ 放任(委任)的リーダーシップとは、部下の意見を尊重して支持しようとしたり、参考意見は述べても指示は避けようとする、部下に仕事の処理・運営を委ねようとする…など、リーダーが目標の設定や仕事の管理に関して部下に権限を委譲して、部下の判断で仕事をさせるタイプのこと。

これら三つのリーダーシップ・スタイルを別の表現によって図表化するなら、図表1となる。

 

図表1 状況によって使い分けるべきリーダーシップ

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これら三つには一長一短があるが、過去にあっては状況の如何に係わらず、民主的リーダーシップが好ましいタイプとして、業種業態に関係なく受け入れられてきた傾向がある。しかし、どんな状況でも民主的リーダーシップが良いスタイルとは限らない。

 

 

 

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