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まず、一〇月一四日午後の総会では、桑原敬一福岡市長が歓迎のことばを、大井久幸アジア消防長協会会長が主催者挨拶を、谷合靖夫消防長長官、徳田正明日本消防協会会長、麻生渡福岡県知事が祝辞をそれぞれ述べられた。そして、松原克彦福岡市消防局長の議長で次の議案について審議を行った。

○ 第二〇会計年度(一九九八〜一九九九)の事業計画について

〇 第二〇会計年度(一九九八〜一九九九)の予算案について

〇 火災予防体制の確立について

シンガポール内務省民間防衛局長官ジェームス・タン氏が提案の説明並びに決議案の朗読を行った。

〇 消防装備の充実強化について

香港消防局指導広報部長チョン・チーウーン氏が提案の説明並びに決議案の朗読を行った。

〇 救急救助体制の充実について

広島市消防局長中岡隆志氏が提案の説明並びに決議案の朗読を行った。

〇 第二一回総会の開催国について

第二一回総会の開催をマレイシア国に依頼することを決定し、同国のテイン・チューぺー住宅地方自治大臣が受託演説を行った。

総会後、国際連合地域開発センター所長の梶秀樹氏が「アジアの防災と消防力の整備」をテーマに基調講演を行った。講演では、1]近年の災害の傾向と火災被害の概説、2]アジア諸都市の火災の実態と消防力について比較検討、3]都市の成長と消防力の遅れが火災被害の増加にどう結びついていたかを日本の諸都市の成長期の資料をもとに解析、4]まとめとして、こうした知見を蓄積し、相互に技術提携を進めるため、アジア諸都市における消防統計の系統的整備の必要性が提言された。

翌一〇月一五日には、各国の代表者が自国の消防事情を発表した。

 

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講演する梶 秀樹氏

 

各国の発表内容は以下のとおりである。

・ 「危機における「危」と「機」の管理」

マレイシア国住宅地方自治省消防救助庁長官 ソウ・チャイ・ホック

・ 「内モンゴルの森林及び草原火災の現状と特異性」

モンゴル国警察庁消防局局長 ダンビン・ヒシクバータル

・ 「広島市営基町高層住宅火災の延焼概要とその後の対策」

広島市消防局警防部長 小田 敏数

・ 「有害物質事故の処理─都市部の対応」

シンガポール共和国内務省民間防衛局長官 ジェームス・タン

・ 「高層建物火災用消火ヘリコプターの概要」

東京消防庁警防部長 鈴木 忠榮

・ 「社会福祉に救急サービスが果たす役割と二一世紀における消防の展望」

大韓民国行政自治部消防局局長 イー・ハッキ

・ 「福岡空港におけるガルーダインドネシア航空機火災について」

福岡市消防局警防部長 松尾 茂憲

各国の消防事情発表後、閉会式が行われ、総会の成果として池田勲大阪市消防局長が宣言を行った。

また、「アジア防災フェア福岡'98」は、一〇月一五日から一八日までの四日間、「福岡ドーム」で開催された。この防災フェアは、最新の消防防災技術と装備機材の展示紹介や防災行政施策の展示、多彩な防災イベントなどを通じて、アジア各国の消防の発展に資するとともに市内外の地域の人達に防災意識を更に高めてもらい、家庭・職場から地域まで、防災の輪を広げることを目的に開催されたもので、四日間で一一七、〇〇〇人が入場した。

 

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アジア防災フェア福岡'98

 

 

 

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