日本財団 図書館


行田市消防本部(埼玉)

 

018-1.gif

 

当本部は、埼玉県の北部に位置し、北を利根川、南を荒川の二大河川が流れ、古代から埼玉北部地方の中心として開け、市内南部の埼玉(さきたま)地区には、国宝「金錯名鉄剣」出土で名高い「さきたま古墳群」や市中心部には、忍藩十万石を誇った「忍城址」など数多くの史跡がある。「さきたま古墳群」は、かつて「百塚」の地名が残るほどの大古墳群で、昭和一三年に国の史跡に指定され、昭和四一年からは「さきたま風土記の丘」として、この一帯三〇haの敷地に、整備が進められている。

また、「足袋の行田」として全国にその名をはせてきたが、現在では被服・靴下の生産に主力が移り、急速な都市化により文化都市へと大きく躍進を続けている。

消防本部の発足は昭和二五年四月一五日で、管内面積は六一・五五km2、人口約八六、〇〇〇で現在一本部、一署三分署九五人の職員、消防団員二四四人、水防員一四〇人と、「消防ボランティアレディース隊」一、六〇〇人で消防・防災体制の充実強化を図っている。

 

・ 災害に強いまちづくりを推進─女性ボランティア

市民の中から、阪神・淡路大震災や日本海での「ナホトカ号」重油流失事故等を契機に、一般火災での初期消火の方法や簡単な救命技術などを修得し、これをいざという時にボランティアという形で地域に還元したいとする声が囁かれはじめたのを受け、消防本部の肝入りで、昨年一二月に管内在住の女性六七六人で、「浮き城のまち行田・消防ボランティアレディース隊」が発足、各地域の役員体制も決まり、救命講習等を修了して、万が一の災害等に備えている。このレディース隊は、火災など災害発生時にボランティア活動に従事する意欲のある女性で組織され、実際に災害が発生した場合は、初期消火や人命救助など地域の応急対策に率先して協力する。メンバーは火災予防運動期間には、広報活動に携わっているほか、日常的にも地域の一人暮らしのお年寄り宅等を訪問し感謝されている。この四月には隊員証もできあがり、九月現在一、六〇〇人が登録しており、消防のよき理解者・協力者として、今後の活躍が内外から期待されている。

 

・ 音楽隊の発足等で士気を鼓舞

平成六年に消防職団員二四人で消防音楽隊が発足した。ゼロからのスタートであったが、地域の協力を得て、今では消防の行事はもちろんのこと、市等の行事にも引っ張りだこで、限られた人員と時間の中で活躍している。また、平成九年には二人の救急隊員が手話技術を取得、消防長自身も空手六段の腕前があり、文武両道をめざして職員の指揮にあたっている。

 

・ 消防職団員家族文化展

昭和六一年から消防職団員の家族を対象に、文化展を開催しており、今年で一三回を数える。消防職団員は家族の支えがなければ、厳しい防災活動を続けることはできないので、その家族を一日消防署に招待し、お餅、うどん、やきそば、フライ等を振る舞い、専門家の絵画や書、盆栽など芸術にも親しんでもらい日頃の協力を家族に感謝する場としている。

 

018-2.gif

 

・ 官民一体の消防行政を

最後に柿沼消防長は、「あらゆる災害から大切な市民の生命や財産を守る仕事は、市の行政にあってもその重要性は今後ますます大きくなっていく。そこで、平成七年からの市長部局との人事交流等、あらゆる機会をとらえて、職員研修等を行い、職員の資質の向上を図り、市民から信頼される行田消防になるよう努力し、また、自らのまちは自ら守るという市民の意識高揚をはかり、官民一体となって消防行政を推進していきたい」と結ばれた。

(飯塚 文治)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION