当本部は、北海道の東に位置し、自然の宝庫とされる北海道の中でも原始的様相を今なお残し、特別天然記念物の"マリモ"が生息する阿寒国立公園や、「湿原の神」と呼ばれる"タンチョウ"の生息地である釧路湿原国立公園など、広大な森林と肥沃な生態系に恵まれた景勝地の多い地域である。
消防本部は昭和四九年四月一日に、三町一村(白糠町・阿寒町・音別町・鶴居村)の組合消防として発足し、現在一本部・一署・四支署、消防職員八七人と、四消防団、一二分団、消防団員三七八人の体制で、管轄面積が全国で八番目に広い二、四八六km2(神奈川県より広い。)に住む二五、〇〇〇人の安全を守っている。
・ 震災の備えは平素から!
平成五年一月一五日(金)二〇時〇六分に発生した「釧路沖地震」により、隣接する釧路市は深度六の烈震に見舞われ、多くの被害が発生したが、幸いにも当本部管内の被害は少なく、特に、火災の発生は一件も報告されていない。これは厳寒地である風土の特性により、建築行政庁の規制強化もさることながら、各家庭では平素から地震に備えて火気使用器具等を固定し、地震発生時には火の元を消す習慣を身につけるなど、地道な指導が実を結んでいる。
・ 酷寒でも"おまかせ"!
冬期においては、車庫内のタン車の水も凍るほど酷寒になることから、凍結防止措置及び有事即応体制を確保している。
冬期前には、職員が管内に設置されている全ての消火栓の止水弁を閉鎖し、凍結防止措置を行い、冬期中においても、管内に埋設されている全ての防火水槽内の氷を毎日割り、常時給水可能状態にしている。また、車庫内を常時五〇℃以上に保ち、タンク水及びポンプ内の凍結防止を、さらには、タンク車の走行中におけるタンク水凍結防止のため、タンク内にアンダーカバーを設置したり、燃焼ヒーターにより保温を行っている。
・ 枯れ草火災を防止!
市街地においても空き地が多く枯れ草が放置されていることから、火災の発生を抑えようと職員が管内の空き地を調査し、所有者に対して予防対策指導を行っている。この結果一、一九二対象のうち、七三%に当たる八七〇対象が処置済となっており、指導を開始した一〇年前からの市街地における枯れ草火災は、皆無に等しい。
・ パークゴルフで防火意識向上!
音別支署及び阿寒支署では、住民に対して効果的な火災予防思想を普及させようと、「防火パークゴルフ大会」を秋の火災予防運動の一環として行っている。
この大会では、賞品として消火器を贈呈し、大会終了後に消火器の取扱い指導を行うなど、今では恒例となり住民からも親しまれ、火災予防に一役買っている。
・ 消防職・団員の連携プレー!
広い管轄区域を有し、少ない職員で住民の負託に応えるために、消防職・団員が一体となった消防行政を推進している。
消防署では、「消防団緊急伝達システム」を整備し、災害発生時の迅速な参集及び出場を図り、連携した災害活動を行っている。
また、火災を一件でも減らそうと、年間を通して管内全ての一般住宅を対象に、消防職員は市街地外を、消防団員は市街地内の防火査察を行っている。
最後に鎌田消防長は、「管内特性及び現状を踏まえながら、効果的な消防行政を推進するためには、消防職・団員と住民とが一体となった予防活動が大切である。また、尊い人命や財産を守り、住民の信頼に応えるためにも、公私にわたる各種事故防止や健康管理に努めて欲しい。」と述べられた。
(野崎 俊幸)