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海外消防情報

 

ドイツのジェットエンジン消防車

ドイツのルドイッヒシャーフェンにあるBASF社は、ドイツ連邦教育・科学・調査・技術省及びドイツ航空宇宙調査協会の協力を得て集中的な調査・研究を行なった結果、このほど全地勢走行革(ATV)に二基のアルファジェットエンジンを搭載したターボ式消防車「ターボ・レッシェル」を開発した。

二基のジェットエンジンから噴出する排気ガスと共に五、〇〇〇から六、〇〇〇辺の水が放出される。ジェットエンジンの旋回能力により、水幕は幅一四〇m、距離一二〇m、そして高さ六〇mにも達する。排気ジェットに発泡剤を混合した水を注入すると、三、五〇〇m2の面積を一m2当たり四から六lの泡で効果的に被覆して火災を消火することができる。

実験及び地方の消防局で実際に使用した結果、毎時一八〇、〇〇〇m3の排気ガスを放射することによって低温の可燃性ガスを希釈して不燃性にできることが証明された。また、水溶性のガスをほとんど完全に洗浄することができる。更に、燃焼面積が三〇〇m2の危険物火災も泡により一分間で消火することができる。

測定の結果、発生する薄い皮膜によりビルの鉄骨の支持構造、柱及びタンクに対してかなりの冷却効果があることが明らかになった。ということは、地域に十分な水利があれば、将来鉄骨の防火被覆も消火設備も必要がなくなるということも考えられるという。

また、ターボジェット消防車をトンネルの排気に応用する研究が行なわれた。鉄道及び道路のトンネルで二基のジェットエンジンを同時に使用して実験をしたところ、これらのトンネルを毎時三〇?qの割合で換気することができた。また、ジェット噴射によりトンネル内に正圧が生じるので、救助隊員は安全に災害現場に到達することができるという。

ジェットエンジン消防車は、消火、危険性ガスの排除、トンネル内の換気等広範囲な用途に適用することができるばかりでなく、環境保護にも役立っている。

 

主な諸元は次の通りである。

長さ=八・四m

幅=二・五m

高さ=ドームの最高部まで三・三m、車体の最高部まで二・七m

ホイールベース=三m

最大重量=一八、〇〇〇?s

エンジン馬力=二七〇PS

ジェットエンジン=ツインスプールバイパス

ジェットエンジンLarzac〇四C六

エンジン回転(全積載時)=低圧で一七、〇〇〇rpm、高圧で二三、〇〇〇rpm

積載燃料=ケロシン二、五〇〇l

(ファイアインターナショナル一九九八年一月号)

(文責 大野 春雄)

 

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