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消防職員のための法令用語解説

 

地方分権推進法 (二)

 

五 地方分権推進法の内容

地方分権推進法(以下「法」という。)は、第一章総則、第二章地方分権の推進に関する基本方針、第三章地方分権推進計画、第四章地方分権推進委員会の四章と附則から成り立っている。

 

六 総則

第一章総則は、法の目的等が定められている。

(一) 目的

「この法律は、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現することの緊要性にかんがみ、地方分権の推進について、基本理念並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、地方分権の推進に関する施策の基本となる事項を定め、並びに必要な体制を整備することにより、地方分権を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。」(一条)。

法で、地方分権の推進を強く目指すことを明らかにしている。特に、ゆとりと豊かさを実感できる社会の実現の緊要性があるといっていることが、早急に分権を進めなければいけない背景となっていることに注意すべきである。

(二) 地方分権の推進に関する基本理念

「地方分権の推進は、国と地方公共団体とが共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあることを踏まえつつ、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとする。」(二条)。

地方公共団体が行っている事務のうち、国の事務を、地方公共団体の機関である知事や市長村長が行っている機関委任事務が、かなりの割合を占め、それらについては、国の強い監督をうけている。そのため、地方公共団体が、あたかも、国の下部機関となっているようになっている。本来、地方公共団体は、国とは独立の団体であって、下部機関ではない。そこで、国と地方公共団体が相互に協力していくことを基本理念として打ち出しているものである。

このことから、機関委任事務の取り扱いをどうしていくかは、重要な問題となっていくものである。

(三) 国及び地方公共団体の責務

国は、地方分権の推進に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有する(三条一項)。

この国の施策は、後に説明する五条、六条等で具体的に定められている。

地方公共団体は、その行政運営の改善及び充実に係る施策を推進する責務を有する(三条二項)。

地方公共団体は、地方分権を進めていくうえにおいて、自らの行政運営の改善と充実を図っていかなければならない。その具体的施策については、後に説明する七条に定められている。

さらに、国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体を通じた行政の簡素化及び効率化を推進する責務を有する(三条三項)。

これは、地方分権の推進により、地方公共団体の役割が増大してくるが、その際、国と地方公共団体とをトータルで考え、無駄な事務を行うことがないようにし、簡素で効率的な行政の体制を目指そうとしているものである。

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

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