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でけいはんなプラザラボ棟七階にて事務局を開設し、関係機関との調整、場所の設定と借用、訓練施設配置と設置など訓練の運営について中枢機能的な役割を果たしました。

しかし私たちは、地元の消防本部として町の防災訓練も同時に開催しなくてはならず、立ち上がりでの地元の訓練で盛り上がるか盛り上がらないかで訓練全体の運営に大きく左右されるので、住民の動員、消防団、自主防災組織、婦人防火クラブ、その他関係機関との調整なども付加されることになりました。

 

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一 手作りの訓練

特に、苦労したことは予算の関係上訓練施設について、ビルの骨組みの組立、高所のパネルの張り付けは業者に依頼しましたが、パネルのイラスト、色塗り、施設のからくり、倒壊家屋の作成などは地元の消防本部で手作りしなければならなかったことです。

作業については京都府南部消防長会を通じて、人的な応援をしていただき共に汗を流しました。その結果としてビルを実際に崩壊させるなど私たちが企画したとおりリアルに表現できる手作りの訓練施設をつくることができました。さらに、私を含めた二人の事務局員の思いを職員全員が受け止め、一致協力しすばらしい発想とアイディアを出したことにより難関を乗り越えることができました。

高齢化を迎えつつある小規模な消防本部であっても経験とチームワークは大きな力となり得ることを確認できました。

 

二 関係機関協力体制

また、近隣消防本部、そして京都市消防局には緊急消防援助隊(コンバインドの訓練も含む。)をまとめていただくと共に訓練全般について豊富な経験によりアドバイスをしていただきました。そして、応援していただいた近畿府県の消防と他関係者の熱き思いが一つになり、無事七七項目の訓練を一二時までに収めることができ、この訓練を成功に導きました。

そして、訓練ではありましたが、これにより災害現場で必要な関係機関の連携が養われ、今後も広域的な応援体制についてより充実できたことも大きな成果でした。

 

むすび

阪神・淡路大震災が発生したことによって、関西では大きな地震が起こらないと言うジンクスが破られました。

それ以降、緊急援助隊などの応援体制について法制化され、それぞれの府・市町村の防災計画の見直しも図られました。防災対策について全国的に整備充実されつつありますが、同地震が発生してから四年目を迎え「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言う諺の例えにならないようにしていかなければなりません。今回の訓練ではこの目的を再確認し、関係機関応援体制の充実とより一層の技術の向上が図られました。

また、当町では、平成三年から自主防災組織の育成に取り組みましたが、当時はあまり関心が集まりませんでした。しかし、阪神・淡路大震災が発生したのを機会に住民の防災意識も向上し、平成八年には第一回の大規模防災訓練を行いました。

しかし、災害が発生した場合、文章で綴られた内容どおりに動くのか、またどのような形で応援に来ていただくのかなどが見えてこなかったのですが、今回の訓練という目の前の映像により明らかになりました。

今後、当町としてもこの訓練で得た教訓を大災害時のマニュアルとして活かすと共に、近畿府県の一町としてこのチームワークが閉ざされないよう、寄与して行きたいと思います。

(森 啓市)

 

 

 

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