ウ 危険物取扱者等は、危険物の危険性を再確認し、移動式の容器等危険物を注油する前後や複数の作業員による確認を行うなどの細心の注意を払う。
エ 災害に備え応急措置資材等を準備しておく。
おわりに
本件の静電気火災は、危険物取り扱い作業に関して経験豊富な一従業員の初歩的なミスから発生したことから、当消防本部の危険物施設における予防行政の指導のあり方を痛感させられた火災事例であった。このことから、監督者以上を対象とした防火研修会を実施した。また、防火推進役の人材育成が急務であり、大災害になるおそれのある事故を未然に防ぐために作業上の安全管理及び消防用設備等の維持管理、また職場における防災組織体制の確立を図り、再発防止に向けて万全を期するよう指導を行っている。
(貞島 清秀)
救急・救助
ヘリコプターによる救急搬送に係る反省について
英田圏域消防組合消防本部(岡山)
はじめに
英田圏域消防組合消防本部は、岡山県の北東部に位置し、東に兵庫県(佐用郡広域行政事務組合、宍粟郡広域行政事務組合)、北に鳥取県東部広域行政管理組合と接している。
当組合は、英田郡の美作町、作東町、大原町、英田町、西粟倉村、東粟倉村と勝田郡勝田町の七ヵ町村で構成されており、南北約五〇km、東西約一五km、面積四八七・一二km2で岡山県の約六・九%を占めている。
圏域は標高三〇〇m以上の山々に囲まれ、標高一〇〇m〜三〇〇mの盆地が帯状に連なり、吉井川支流の吉野川及び梶並川の二つの水系が中国山脈にその源をなして貫流し、山林原野が圏域の八〇%近くを占める山間地である。人口は約三八、〇〇〇人で、一本部・一署、一出張所、職員数五九人の小規模ながら、地域住民の安全を守るため各種災害に対処している。
ここに紹介する事例は、救急車では救命が困難であったと思われる患者をヘリコプターの応援を得て搬送したことにより一命をとりとめた事例であるが、初めての応援要請で反省点が生じた。
一 要請に係る概要
平成九年一二月二四日、一三時五七分A医院のB医師より「腹部大動脈瘤破裂の患者をC高度救命センターまで、ヘリコプターで搬送をお願いしたいが来てくれるかどうか確認してほしい」との通報があった。一三時五九分岡山市消防局へ確認すると、いつでも飛行可能という回答を得、B医師へ連絡した。B医師は「早急に要請してほしい」とのことであったが、この時点では希望する搬入病院への受け入れ承認が取れていなかったため、B医師へ次の四点が確認でき次第要請しますと回答した。
1] 医師等の同乗の有無
2] 搬入病院と担当医師の確認
3] 搬送患者のヘリコプターによる影響の有無
4] 同乗医師等の帰院方法
(一) この時点で臨時ヘリポート確保のため、事前計画で飛行場所離着陸場に指定している管理事務所に連絡し、使用許可を得る。
(二) 一四時〇六分、B医師より四点とも確認できたので、ヘリコプターを要請してほしいと連絡が入る。(搬送先のC病院は高度救命救急センターで外科D医師が担当であること)
(三) 一四時〇七分、岡山市消防局消防航空隊へ、ヘリコプターの応援要請をした。
(四) 一四時四五分、搬送先C病院のヘリポートの着陸許可を得た。
(五) 一四時五〇分に、ヘリコプターにより高度救命救急センターに搬送を終えた。
二 要請に係る反省点
(一) ヘリコプター応援要請順序の周知徹底
ヘリ要請は原則として県知事を経由すること、なおそのいとまがない場合であっても、岡山市消防航空隊でなく岡山市消防局へ要請することとなっているにもかかわらず、直接消防航空隊へ要請したこと。