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中部上北広域事業組合消防本部(青森)

 

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中部上北広域事業組合消防本部は、青森県の東中部に位置し、七戸町・上北町・東北町・天間林村の三町一村で構成され、管内面積六六三・八九km2、人口四二、三〇七人の安全な生活を一本部・三署・九〇人の消防職員と三〇分団・五七五人の消防団員によって守っている。本部は昭和四二年四月一日に二町一村でスタートし、昭和四三年一一月一日に東北町が加入し現在に至っている。西に八甲田山を望み、東には日本で一一番目の広さを誇る小川原湖がある。小川原湖で捕れるわかさぎ、しらうおや、長芋、にんにく、葉たばこ等の特産品に加え馬の産地としても有名である。小川原湖は、冬季間でも氷面下で地引き網漁を行う伝統漁法「氷下曳漁(しがびき)」(写真)、夏は花火大会や湖水浴・キャンプ等歴史と新しいリゾートとしての香りを感じさせる美しい湖で、管内住民は基より遠方からの観光客の憩いの場となっている。また、奥州街道(国道四号線)が南北を縦断しており、旧城下町の歴史を感じさせるとともに、東北新幹線八戸・青森間の中間駅として七戸駅舎の新設が計画されており、新旧の交通の要衝となっている。

 

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広域消防の真髄

当本部は、東北地方では一番最初に広域消防となり、それ以後、予算面、人事面等において各町村に偏りのない予算配付や人事採用等を基本としている。それにより出身地には関係なく、各署に配置し、出場体制も広域的な考え方で計画されている。また、他の部局との人事交流も行われ、縦割り行政等の弊害もなく、一つの行事に各部局が協力しあっている。小さな町村で大きな事業を行うには予算的な無駄が多く人的にも無理が生じる。そのため広域化が重要であり、職員全てが「一つの都市」としての考えをもって働いている。

 

時代の流れを見つめて

現在の救急出場件数は、年間約八五〇件であり、人員的に救急隊の専属配置はできない状況であるが、今後は救急業務の高規格化に向け、救命士の育成を目標としており、女性職員の採用も考えている。そのため、病院の受入態勢を含めて組合議会に積極的に働きかけている。

 

広い視野を持った人材育成

職員には、大型運転免許等の資格取得を奨励し、取得後は職員に対し手当を支給している。そして毎年ドライバーズコンテスト(安全運転管理者協会主催)に職員が参加し、昨年は地区大会一・二位の成績で県大会に出場した。また職員が広い視野を持ち、心にゆとりのある生活を送れるようにと、全国に親睦旅行に出かけている。

 

地域住民との信頼関係

管内の幼稚園・保育園全て(二四施設・約一〇〇〇人)が幼少年クラブに加入しており、救急講習や花火指導、防火パレード等に参加している。消防団とは共同で訓練を行い、スポーツ大会などで親睦を図っている。危険物保安連絡協議会では事故防止講習等のみに止まらず、子供たちに何か起こった時の避難場所として、ガソリンスタンドが協力している。そして少ない人員でも、災害時の消防力が低下しないよう非番者の参集も行い、地域住民の安全には、万全を期している。酒井消防長は「小さいことだが言葉づかい一つにも大切な気持ちで地域住民と接し、消防職員との信頼関係を確立するとともに職員の輪を大事にしている」と力強く語り、その考えが職員に浸透し、活気ある職場がとても印象的であった。

(中村 昌美)

 

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