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四 活動概要

通信指令室は「大型観光バス横転事故、負傷者数は不明」との第一報により交通救助出動を指令、輪島署救助工作車一台、救急車二台が出場する。その後、先着救急隊からの情報により、指令車一台及び支援隊の出動を指令、関係機関に対し、事故の発生を通知し、受入れ病院の選定を行った。

現場は直近の輪島署より約八kmで、第一救急隊が横転バスの負傷者等の状況を確認、幸いにも乗客は全員自力で車外へ脱出済みを確認し、現場でトリアージを開始する。

第二救急隊は小型乗用車の運転席で腹部をハンドルで押さえ付けられ、下半身は運転席間に狭まり救出困難な状態でいる女性一名を確認した。女性のバイタルはJCS三〇〇、下顎呼吸有り、総頸動脈で脈拍触知、頭部挫創を確認したので、頸部固定用副子装着、負傷箇所の被覆処置及び携帯呼吸器により補助呼吸を行い、救助隊と救助活動を開始した。

救助隊はまず、運転席側ドアを油圧スプレッダーと油圧カッターで解放し、救急隊の活動スペースを確保した。救出活動中、要救助者はCPAとなり、CPRを開始、それと平行しながら救助隊は更に油圧ラムシリンター及びスプレッダーでハンドル、ダッシュボードを引き起こし、要救助者を救出、救急隊に引き渡し救助活動を完了した。負傷者は救急隊により選定病院へ搬送されたが、頭部及び胸部外傷により収容先で死亡した。

バス側負傷者は順次到着した救急隊により選定病院へ搬送、なお負傷者数が四〇名と多数のため、トリアージ後の軽傷者は現場交通規制中の警察官に警察車両での搬送を依頼した。収容先病院には職員を配置、情報収集と報告に当たらせた。

 

おわりに

今回の救急・救助事例は負傷者が多数にもかかわらず、救出困難な要救助者は一名で、また重傷者が少なかったため、現場活動は現場指揮本部及び先着救急・救助隊を中心とした救出、応急処置、トリアージ等が迅速に行われたのは幸いであった。また指揮命令体制及び関係機関等相互間の連携の強化や組織的搬送方法も大事な事であると痛感した。今後ますます大型複雑化する各種災害に迅速、適確に対応するため、種々の悪条件を想定した訓練を実施し、住民の安全を確保できるよう職員一丸となって取り組んでいる。

(福島 義浩)

 

予防・広報

無火災は、幼児教育から

高吾北広域町村事務組合消防本部(高知)

 

はじめに

当本部は、県都・高知市の西方約二三km愛媛県に接した高知県の中央北部に位置し、佐川町、越知町、池川町、仁淀村、吾川村の三町二村で構成されている。

人口は、約三万人。総面積約五四五km2、その内森林面積四五八km2で全体の八四%を占める山村地域にある。山あいの斜面に集落が点在し、またわずかな盆地に商店街が散在している。四国山脈を背景に太平洋に面していることから、降雨量が多く、特に夏場は台風や集中豪雨など雨の影響を受けやすい。

また、管内には平家落人伝説由来の地が多く、中でも県立公園越知町横倉山は有名である。安徳天皇陵墓の参考地として、また、佐川町出身の牧野富太郎博士が発見命名したヨコグラノキ、全国名水百選「安徳水」、クサリサンゴ等シルル紀の化石の山としても有名である。最近では、安藤忠雄氏設計の横倉山自然の森博物館は、この山にマッチした建築物である。眼下を走る仁淀川は、鮎の友釣りの良場として広く太公望に親しまれている。

 

 

 

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