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平成一〇年度消防関係財政措置等消防財政の近況について

自治省消防庁消防課 理事官 重松 秀行

 

はじめに

 

本稿においては、平成一〇年度の消防関係の財政措置状況について述べるとともに、平成一一年度予算の概算要求の概要、消防財政の運営に係る留意点等についても若干触れることとしました。なお、文中において意見にわたる部分については私見であることをお断りさせていただきます。

 

一 平成一〇年度における消防財政措置

 

平成一〇年度の消防防災関係の地方交付税措置(標準団体ベース)における主な改善措置は次のとおりとなっている(第1表参照)。

 

(一) 消防費(市町村分)

1] 常備消防費については七億五千九百万円(対前年二・三%増)となっており、主な内容は次のとおりである。

a 消防職員の処遇改善を図るため、給与費において消防ポンプ自動車等の出動の際の出動手当の単価等を平成二年以来八年ぶりに引き上げた。

b 備品購入費において、はしご付消防ポンプ自動車等の単価を実態等を勘案し前年度に続き引き上げた。

c 使用料及び賃借料では、携帯電話等からの一一九番通報受信体制の維持に係る経費(代表消防本部と所轄消防本部間の専用回線使用料)を実態等を勘案し引き上げた。

d 消防水利の維持確保のため、公営企業水道会計繰出金を実態等を勘案し引き上げた。

2] 救急業務費については一億六千三百万円(四・〇%増)となっており、主な内容は次のとおりである。

a 消防職員の処遇改善を図るため、給与費において救急出場の際の出場手当の単価を平成二年以来八年ぶりに引き上げた。

b 救急救命士の教育訓練に資するため、備品購入費において特定行為訓練用資機材購入に要する経費を新たに算入した。

c 救急救命士の養成を一層進めるため、旅費において救急救命士研修派遣に要する経費を新たに算入した。(特別交付税から普通交付税へ移行)

3] 非常備消防費については八千万円(対前年一・〇%増)となっている。

消防団については、多数の動員を必要とする大規模災害時の救助救出活動など非常に重要な役割を果たしているとともに、地域に密着した組織として、住民に対するきめ細かい予防活動等幅広い分野で活躍しているが、団員数の減少、団員の高齢化、サラリーマン団員の増加等の課題が生じてきている。このため、消防庁としては、消防団の充実強化に努めているところであり、このため、平成九年度人事院勧告が一・〇二%という状況のなかであったが、比較的若い団員の報酬年額について三万五百円(三・四%増)とし、全階級において千円の引き上げを行うなど消防団員の処遇改善を図るため、団員報酬、出動手当及び指導員手当を引き上げた。

これらにより、標準団体における市町村消防費に係る単位費用は一万三百円(平成九年度一万百円)に引き上げられることになった。

 

(二) その他の諸費(市町村分)

防災諸費については二千三百万円(対前年度一・一%増)となっており、主な項目は次のとおりである。

a 平成九年六月の防災基本計画の修正を踏まえた地域防災計画における事故災害対策編の充実に要する印刷製本費を新たに算入した。

b 消防防災無線の保守点検に係る委託料を実態等を勘案し引き上げた。

 

(三) その他の諸費(都道府県分)

1] 消防防災費については四億六千百万円(対前年度〇・七%減)となっており、主な項目は次のとおりである。

a 震度情報ネットワークシステムの保守点検に係る委託料を新たに算入した。

b 平成九年六月の防災基本計画の修正を踏まえた地域防災計画における事故災害対策編の充実に要する印刷製本費を新たに算入した。

c 救急振興財団負担金を、同財団の第二期整備計画の完了に伴い引き下げた。(名称を「救急振興関係負担金」に変更。)

d 防災情報システムに係る通信費を実態等を勘案し引き上げた。

e 消防防災無線の保守点検に係る委託料を実態等を勘案し引き上げた。

2] 消防学校費については四千六百万円(対前年度七・六%増)となっており、主な内容は次のとおりである。

a 航空隊員の統一的、効果的な教育訓練の実施のため、消防大学校に創設する「航空消防防災講習会」の受講に要する経費を新たに算入した。

b 屈折はしご付消防ポンプ自動車等の単価を実態等を勘案し引き上げた。

 

 

 

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