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ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

借地借家法 (七)

 

一八 建物賃貸借契約の更新

借地借家法二六条の規定により、建物賃貸借契約の更新は、次のとおりとなる。

期間の定めのある賃貸借については、期間満了の一年前から六ヵ月までの間に、更新をしない旨の通知をしないと、従前と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。但し、その期間の定めのないものとすることになっている(法二六条一項)。

更新しない旨の通知をした後であっても、賃貸借期間満了後、賃借人が使用を継続しているのに、賃貸人が遅滞なく異議をのべないと、賃貸借契約は更新される(注二六条二項)。

建物の転貸借が、されているときは、建物の転借人がする使用の継続を、建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなす(法二六条三項)。

 

一九 解約による建物賃貸借の終了

借地借家法二七条の規定により、賃貸人が、解約の申入れをしたときは、建物の賃貸借は解約申入れ日から六ヵ月で終了する(法二七条一項)。

 

二〇 建物賃貸借期間の更新拒絶の要件

借地借家法二八条により、更新拒絶には、正当事由が必要である。

それは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情、建物の賃貸借に関する従前の経過、立退料を考慮して、正当の事由の有無について判断することになる(法二八条)。

 

二一 一年未満の建物賃貸借

借地借家法二九条の規定により、建物賃貸借の期間について、期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなすことになっている。

 

二二 片面的強行規定

借地借家法三〇条の規定により、借地借家法の第三章借家の第一節建物賃貸借契約の更新等に関する規定(法二六条から二九条)に反する特約で、建物の賃借人に不利なものは、無効とすることになっている。これを片面的強行規定という。

 

二三 建物貸借の効力

建物賃貸借の効力は、建物の引渡によりその後、その建物に物権を取得した者に対し、効力を生ずる(借地借家法三一条)。

この規定は、片面的強行規定である。

 

二四 借賃増減額請求権

借地借家法三二条の規定により、借賃増減額請求権が認められている。

 

二五 造作買取請求権

借地借家法三三条の規定により、建物資借人は、賃貸人の同意を得て付加した畳、建具等の造作について、買取請求権を有する。この規定は、借家法と異り、強行規定でない(法三七条)ので、これに反する特約は有効である。

 

二六 居住用建物の賃貸借の承継

借地借家法三六条の規定により、居住用建物について、相続人がない場合の内縁の妻等の借家権の承継が認められている。相続人がいるときは、内縁の妻は、貸主に対して、相続人の相続権を援用するということになろう。

 

二七 借地上の建物の賃借人の保護

借地上の建物の賃借人の保護についての規定が、借地借家法三五条によって設けられた。この規定も片面的強行規定である。

(借地借家法の稿、終了)

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

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