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(三) 防災航空隊活動概要

一四時三一分高規格救急隊から傷病者及び処置を引き継ぎ担当医師同乗の下宮川河川敷を離陸、飛行中も傷病者の容体に変化はなく、一五時〇〇分大江臨時発着場到着、一五時一〇分名古屋市消防局大同消防署救急隊に引き継いだ。

(四) 名古屋市消防局大同消防署救急隊活動概要

一五時一〇分防災航空隊から傷病者及び処置を引き継ぎ担当医師同乗の下大江臨時発着場を出発、一五時一九分C病院熱傷センターに搬送収容した。

 

七 傷病者の予後

傷病名 重傷広範囲熱傷

七月三日 一三時二〇分死亡

 

八 出場隊

小俣救急隊隊長以下三人

高規格救急隊隊長以下三人

防災航空隊隊長以下六人

名古屋市消防局大同消防署救急隊隊長以下三人

 

おわりに

平成一〇年三月二五日、ヘリコプターによる救急搬送の需要の増加にかんがみ、ヘリコプターによる救急隊の編成及び装備の基準を規定し、航空救急業務の推進を図るため消防法施行令の一部を改正する政令が、公布、施行された。

本症例は、残念なことに傷病者の生命を救うことはできなかったが、スムーズな連携により県境をまたいだ中継搬送ができたことは、医療機関を含め、活動に従事した隊が今回の改正の趣旨を十分理解し、多種多様化する救急事案に対処できるよう日々訓練し、発生した事案の検討に努めている結果であると考えられる。

今後は、消防本部独自の努力に加え、救急に携わるあらゆる機関の協力連係体制の確立にも努めなければならない。

(浜口 節生)

 

予防・広報

広域圏内の消防行政は官民一体で島田消防本部(静岡)

 

はじめに

当本部は、駿河の国、静岡県のほぼ中央に位置し、昔から唄われている「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」の、急流で有名な大井川の源流からほぼ駿河湾までの行程約八〇kmに渡り、管内流域面積八一二・五七km2で、県内でも静岡市消防本部に次いで、二番目という広大な面積を有している。

管内には平成一〇年一月、ギネスブックにも登録された世界一長い木造賃取り橋「蓬来橋」をはじめ、お茶とミカンが特産の島田市、平成の道普請として旧東海道を町民こぞって大井川の玉石で普請し、また、茶祖栄西禅師で有名な金谷町、お茶と温泉のまち川根町、木都中川根町、良質温泉の観光地として年間を通じて観光客の往来が絶えない本川根町の一市四町から成り、平成一八年には南側に隣接する榛原町との境界に、静岡空港の開港と新幹線新駅設置要望などビックプロジェクトが控えており、管内人口は一一六、〇〇〇人を数え、臨空都市として来る二一世紀に向けて、共存と発展が期待されている。

当本部は、自治省消防庁より平成七年「モデル広域」の指定を受け、平成九年四月に新たに一市四町で広域再編による一部事務組合を組織し、一本部・二署・三分遣所で消防業務を開始、職員一三一人、消防ポンプ車五台、小型動力ポンプ付水槽車二台、救急車五台、梯子車一台、救助工作車二台、化学車二台を保有し日夜市民、町民の生命と財産を守っている。

平成九年一〇月に新設される川根北分遣所には、消防本部から道程五〇キロ、時間にして一時間余を要し、ここから最北の行政境までは更に一時間を要する。

しかし、本年一〇月には管内の下流域に位置する川根町内に当本部四番目の川根南分遣所が開所され、管内の消防体制は飛躍的に増大し、市民、町民が安心して生活できる環境を提供できた。

 

 

 

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