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救急・救助

全身熱傷者の搬送

伊勢市消防本部(三重)

 

はじめに

伊勢市は、三重県の南部に位置し、古くから「お伊勢さん」と慕われ広く全国に知られた神宮鎮座の地で、多気・度会及び志摩の三郡並びに鳥羽市に隣接し東に五十鈴川、西に宮川そして中央に勢田川が流れ、北は伊勢湾に面し東から南にかけて朝熊岳、島路山、神路山、前山、鷲嶺が連なっている。

当消防本部は、伊勢市・二見町・小俣町・玉城町・度会町・御薗村の一市・四町・一村で構成され、消防体制は、一本部・一署・二分署・四出張所、職員数一七二人、救急隊七隊で年間約四、〇〇〇件弱の救急事案に対応している。

ここに紹介する救急事例は、火災により負傷した傷病者を管内の医療機関に収容したが、重症広範囲熱傷のため当本部、三重県防災航空隊、名古屋市消防局の連携により管外の熱傷センターに転院搬送した事例である。

 

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一 事故発生日時

平成十年七月二日(木) 一三時四五分

(加入電話)

 

二 事故発生場所

度会郡御薗村高向N病院

 

三 傷病者

三八歳 男性

 

四 救急概要

小俣町内で発生した建物火災に伴う熱傷傷病者一名を先着の小俣救急隊がN病院へ搬送収容したが、当該傷病者は全身広範囲III度熱傷のため、N病院担当医師が処置困難と判断し、近県のC病院熱傷センター担当医師に収容を依頼。緊急搬送の必要から当消防本部から防災ヘリコプターの緊急運行を要請し、当消防本部高規格救急隊並びに名古屋市消防局大同消防署救急隊の連携により、九四分間で当該傷病者をC病院熱傷センターへ搬送収容した。

 

五 時間経過

小俣救急隊覚知 一三時〇一分

小俣救急隊現場到着 一三時〇六分

小俣救急隊病院収容 一三時二七分

高規格救急隊覚知 一三時四五分

高規格救急隊現場到着 一三時五六分

高規格救急隊防災航空隊に引き継ぎ 一四時三一分

防災ヘリコプター出発 一四時三一分

防災ヘリコプター大江臨時発着場到着 一五時〇〇分

名古屋市消防局大同消防署救急隊に引き継ぎ 一五時一〇分

名古屋市消防局大同消防署救急隊病院収容 一五時一九分

 

六 救急活動概要

(一) 小俣救急隊活動概要

一三時〇六分現場到着、全身熱傷で仰臥位になっている傷病者に対し救急毛布を使用し、感染防止・生理食塩水を浸した滅菌ガーゼで局所的に被覆冷あん・毎分四lの酸素投与処置を実施し、一三時一八分現場出発し、一三時二七分N病院に収容した。

(二) 高規格救急隊活動概要

一三時五六分N病院に到着、傷病者の気管切開・中心動脈輸液・気管切開口から毎分三l素投与処置を継続維持し、担当医師同乗の下一四時二六分N病院を出発、一四時三一分防災航空隊に引き継いだ。

 

 

 

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