火災
プレス済み廃車置場火災
上市町消防本部(富山)
はじめに
上市町は、富山県の東部に位置し、富山市から東へ約一五kmの距離にあり、東南部は剱岳(二、九九八m)を主峰として、奥大日岳・早乙女岳等の山岳地帯を形成し、魚津市・宇奈月町・立山町に接している。北西部は平野地帯で富山市・滑川市・立山町・舟橋村と接し、富山県東部の副都心として発展している。当町は、中部山岳国立公園と大岩眼目県定公園を有し、町のシンボルである剱岳をはじめ雄大な北アルプス連峰の山々を仰ぐことができる。また「全国名水百選」に選定された『穴の谷霊場』もあり、水と緑の豊かな大自然に恵まれた"夢と希望に満ちた活力あふれる"まちである。
当町の消防体制は一本部・一署、消防職員二四人、消防団は一団・八分団で消防団員二九六人と小規模ながら管内総面積二三六・七七km2・人口約二四、〇〇〇人の生命と財産を守るために、日夜消防業務を遂行している。
ここに紹介する火災事例は、野積みにされていた大量のプレス済み廃車が自然発火し、長時間にわたり延焼した特異火災であり、また現場敷地は、上市町・富山市・滑川市の二市一町の境界部に位置しており、合同消防現場指揮本部を設置して消火活動を行い、隣接の魚津市・立山町からの応援や県の防災ヘリコプターも含め、三市二町の消防職団員、述べ一、二一二人の二九時間余りに及ぶ不眠不休の消火活動により、鎮火したものである。
一 火災の概要
(一) 出火日時
平成九年八月二九日(金) 〇時〇四分頃
(二) 出火場所
富山県滑川市有金八七五-一
豊富産業株式会社・車両総合センター内、廃車プレス原料置場(滑川市有金)の約四、〇〇〇m2(幅三八・五m×奥行一〇四m)の範囲にわたり、プレス済みの廃車(エンジン・タイヤ・燃料及び燃料タンク等を除きシュレッダー材として鉄再生に用いるために角形にプレスしたもの)約二五、二〇〇台を一〇mの高さに野積みしており、約一七、〇〇〇台(六七%)のプレス内可燃物を焼失した。
(三) 覚知時間
平成九年八月二九日(金)
・ 第一通報 〇時一一分滑川市消防本部にて一一九番を覚知する。
・ 出動要請 〇時二一分・滑川市消防本部より上市町消防本部へ出動要請
(四) 鎮圧時間
平成九年八月二九日(金) 二三時五五分
(五) 鎮火時間
平成九年八月三〇日(土) 五時二五分
(六) 警戒解除
平成九年八月三一日(日) 一五時〇〇分
(七) 気象状況
平成九年八月二九日(金) 〇時一三分
(上市町消防本部調べ)
天候晴れ 気温二一度
湿度九一% 風向南東
風速二.六m
(八) 死傷者等
なし
(九) 施設等の被害
なし
(一〇) 焼損面積
二、八〇〇m2
(一一) 廃車プレス燃焼量
八、四〇〇t