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イ 広報のポイント

(ア) 事実を伝えること

(イ) 正確に伝えること

(ウ) 簡潔に伝えること

(エ) 明確に伝えること

(オ) 必要な事項は省略せずに伝えること

(カ) あいまいな情報は慎むこと

(キ) 繰り返し行うこと

ウ 報道機関に対する広報

事故の状況によっては、社会的影響が大きい場合もある。従って、報道機関に対する広報を行うにあたっては、内容の正確さと統一性を期する必要がある。

(九) 避難誘導等

核燃料物質の輸送については、輸送物、輸送方法等について法令によって厳しい規制が実施されていることから、核燃料物質の漏洩等が発生しても一般的には避難誘導を必要とする規模のものが発生する可能性は小さく、ほとんどの場合は消防警戒区域からの退避またはその区域への出入の禁止もしくは制限をすることで足りるものと考えられる。

しかし、万一輸送車両の火災等の現場付近に在る一般人の避難誘導の必要とする事態が生じた場合は、警察官、地方公共団体等の関係者と相互に密接な連携を保ちながら、適切な避難場所に誘導する。

(一〇) 火災原因調査等

核燃料物質に係る火災原因調査は、不用意に行えば汚染または被ばくを生じるおそれのあることから、輸送責任者または専門家の協力を得て、汚染または被ばくの恐れのない方法で行わなければならない。

核燃料物質に係る事故では、核燃料物質を長時間放置することは好ましくないので速やかに調査を行う。また、調査後は、輸送責任者または専門家に対して、核燃料物質を安全な場所へ速やかに移動するように要請する。

なお、輸送物の事故現場からの移動にあたっては、必要に応じ、国の派遣係官により輸送物、輸送方法等の確認が行われることとなっている。

(一一) 事故処理の終結

事故処理の終結については、必要に応じ、国の派遣係官または国の専門家が最終モニタリングを行い、汚染のないことを確認することとなっている。

(一二) 消防隊員の除染

ア 除染は、早ければ早いほど効果がある。

イ 体外汚染の除染は、事故現場では衣類、靴等の交換が有効である。

ウ 皮膚が直接汚染された場合であっても、ほとんどの場合簡易なシャワー設備で除染が可能である。

エ 除染ができない場合は、速やかに除染可能な施設に搬送する。このためには、あらかじめ除染施設を有する事業所等を把握し、万一の場合の協力を依頼しておくことが望ましい。

(一三) 消防資機材の処理

汚染された消防資機材の処理については、処理のできる関係事業者に依頼すること。

なお、除染または廃棄処理をするために汚染された消防資機材を輸送し、または保管する場合は、二次汚染を防止するため、ビニール袋、ドラム缶等に入れ、密封することが必要である。

 

五 おわりに

核燃料物質の輸送事故対策として、特に消防機関が対応する火災事故対策についてまとめた。予防・警防活動の参考になれば幸いである。

なお、現在、IAEA一九八八年版「放射性物質輸送事故時の緊急時対応計画と準備」の改訂が進められており、今後この改訂内容を反映した見直しを行い、より一層充実した事故対策の作成が要望される。

 

 

 

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