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ウ 輸送容器に接炎していない場合または輸送容器に接炎があっても輸送容器の亀裂等がないことが確認できる場合は、一般の車両火災等と同じ消火活動を行って差し支えないこと。

工 輸送容器の亀裂等の破損により、核燃料物質の漏洩拡散等が予想される場合は、風上で、かつ遠方からの噴霧注水を用いて活動すること。

オ 核燃料物質の飛散の兆候がある場合の注水は、核燃料物質の飛散を防止するため、低速噴霧注水で必要最小限の水量で慎重に行うこと。

カ 消火活動に伴う消火残水が、核燃料物質によって汚染されている可能性がある場合は、注水を最小限に行うとともに、土のう、防水シート等により流出防止策を講じ、汚染範囲の限定に努めること。

キ 残火処理は短時間で行うこと。この場合、トビグチ等の柄の長いものを使用し、汚染の可能性がある物に直接触れることは避けること。

ク 核燃料物質を移動する場合は、特段の必要性がある場合を除き、輸送責任者または専門家に行わせること。

(七) 救急救助活動

輸送車両の火災等に伴って救急救助事象が発生した場合には、救助隊員及び救急隊員は、汚染、被ばくを受けた者または汚染、被ばくを受けたおそれのある者(以下「汚染者等」という。)に係る救急救助活動を実施することもあることから、その活動に伴う二次汚染を防止するため、前(五)に掲げる事項の他、次の事項に留意し慎重に救急活動を行う。

ア 救助隊員または救急隊員は、救急救助活動に入る前に輸送責任者または専門家の協力を得て、要救助者または搬送対象者の位置、その汚染状況等について確認を行うこと。

イ 汚染者等を搬送する場合には、必要に応じて、防護衣類及び呼吸保護具を着装し、二次汚染に注意すること。

ウ 輸送責任者または専門家により、過度の被ばくを受けたと判断された者については、速やかに専門医療機関へ搬送すること。

エ 救急車等の床は、汚染防止のためビニールシート等をテープで止めてカバーもすること。

オ 搬送医療機関の選定にあたっては、放射性物質に関し、識見を持つ輸送責任者、医師等の協力を得ること。なお、放射性物質に関する専門医の診断が必要とされる場合もあることから、消防機関においては、あらかじめ専門医のいる医療機関を把握しておくことが望ましい。

カ 汚染、あるいはその疑いのある負傷者を医療機関に引渡すときは、その事を医師等に確実に知らせること。

キ 汚染者等の搬送に際し、使用したビニールシート、毛布等は汚染者等に触れた側を内側にたたみ込み、また綿やガーゼ等は一定容器に入れて、輸送責任者または医療機関に保管もしくは処理を依頼すること。

ク 被ばくした者は、放射線障害に対するばく然とした不安感を持つため、精神的にさまざまな症状を訴えることが多い。このため元気づけを行い、心理的動揺と混乱を静めることが大切である。

(八) 広報活動

広報は、核燃料物質に係る事故が現場付近にいる一般人に影響を与える恐れがある場合、避難を必要とする事態に陥った場合等において、次の事項に留意し実施する。

ア 広報の範囲等

一般的には消防警戒区域内及びその周辺での広報で足りると思われるが、輸送責任者、専門家、警察官等の関係者とも協議し、広報範囲を決定する。また、広報活動にあたっては、広報文を作成する等統制のとれたものとするとともに、広報範囲について道路等を境界とした分担区域を定め、広報に洩れのないように行う。

 

 

 

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