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輸送車両の火災等の現場に到着した消防隊は、次の事項に留意し、慎重に情報の収集を行うこと。

ア 収集する情報の内容

一般の車両火災等において必要とする情報以外に、前(一)アにおいて通報者から得られた情報または未確認の情報を確認するとともに核燃料物質に係る情報として次の情報の収集を行う。

(ア) 核燃料物質自体の性状

a 火気、熱気に対する危険性

b 禁水性、劇毒性

c 汚染または汚染拡大の可能性

(イ) 火災等による影響

a 輸送容器の亀裂等の有無及び程度

b 火災と輸送容器との位置関係

c 放射線の強度等の検出状況

d 周辺への影響の可能性

イ 情報分析等

(ア) 核燃料物質の漏洩等の確認、汚染、被ばくの危険性の判定については、輸送責任者または専門家に最大限の協力を求めること。

(イ) 核燃料物質による汚染、被ばくの恐れのあることが判明した場合においては、輸送責任者または専門家の協力を得て、救急救助活動、消火活動、消防警戒区域の設定、拡大防止対策等に関する消防活動の方法等について慎重に検討すること。

(四) 消防警戒区域の設定

消防警戒区域を設定する場合は、次の事項に留意して、設定する。

ア 消防警戒区域は、その範囲が後刻縮小されることはあっても拡大されることのないように、汚染拡大のおそれについても考慮しながらあらかじめ広めに設定すること。なお、輸送責任者によって設定される立入制限区域の設定状況等をも考慮して設定すること。

イ 消防警戒区域は、ロープ、標識等により明確に表示すること。

(五) 汚染または被ばくのおそれのある区域での活動

ア 活動する消防隊員は、必要最小限の人員とすること。この場合において、外傷のある者は極力進入させないこと。

イ 活動時間はできる限り短くすること。

ウ 必要以上に放射性物質に接近しないこと。

エ ポケット線量計、熱蛍光線量計等の個人被ばく測定用具を所持することが望ましいこと。

オ 必要に応じて防護衣類及び呼吸保護具を着装すること。

カ 資機材は、必要最小限とすること。

キ 放射性物質を吸入したり、飲んだりしたと思われる場合は、直ちに吐出し、専門医療機関による検査及び治療を受けること。

ク 活動が終了した場合は、消防隊員及び資機材の汚染検査を速やかに行い、必要があれば除染を行うこと。

ケ 活動を終了した消防隊員は、汚染検査が終了し、指示があるまで絶対に喫煙及び飲食はしないこと。

(六) 消火活動

消火活動は、消防隊員の安全を確保しつつ併せて、汚染の拡大を防止し付近住民の生活への影響を最小限に抑えるように行わなければならない。消火活動にあたっては、前(五)に掲げた事項の他、次の事項に留意し、火災等の状況に応じて慎重に実施する事が必要である。

ア 水利部署、消防車両の配置にあたっては、消防隊員、消防車両、消防資機材等の不要な汚染、被ばくを避けるよう可能な限り火災車両の風上の高所で消火活動に支障のない範囲で遠方に選定すること。

イ 輸送車両への注水は、核燃料物質の飛散を生じることもありうるので、輸送責任者または専門家と連携をとりながら状況の把握に努め、注水による飛散の危険性を考慮し輸送物に対する直接注水は慎重に行う必要があること。

 

 

 

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