(二) 第一段階
隊列運行の場合は事業者が設置する事故現場対応組織が、他方単独運行の場合には運搬従事者が、事故現場に到着した警察官及び/または消防職員の指示に従って措置する段階に移行するが、警察官及び/または消防職員到着時までは、事故直後の対応措置を続行し、当該輸送に係る輸送本部または運搬従事者の所属営業所等を通じて関係機関への通報連絡等を行なうと同時に、輸送物積載車両が事故に直接関与している場合には、
1] 暫定的な立入制限区域の設定
2] 事故規模の評価(放射線量率、汚染状況の測定に基づく漏洩規模等の評価)
3] 事故拡大防止
等の必要な措置に着手する。
警察官及び/または消防職員到着後は、運搬従事者は放射線防護上必要な情報、助言を与えながらその指示に従い、携行資器材等を用いて上記の措置を進める。
A型核分裂性輸送物、BM型輸送物及びBU型輸送物等、関係省庁の確認を要する輸送物であって、輸送物積載車両が事故に関与している場合は、輸送物からの放射能漏洩が認められなくても、その後の運行については、次の段階を待って関係省庁の指示に従うことになる(事故に遭遇した輸送物及び輸送方法については、再確認が必要となる)。
(三) 第二段階
輸送物積載車両が事故に関与し、かつ、輸送物から収納物が漏洩または露出している場合、事故現場対応組織または事業者等からの通報連絡に基づいて、「放射性物質輸送事故対策会議」により設置される現場事故対策本部の派遣専門家、派遣係官等の指示に従って措置する段階に移行するが、派遣専門家、派遣係官等の到着時までは、警察官及び/または消防職員の指示に従い、第一段階の措置を続行し、特に事故の拡大防止に努める。(図2 事故時の連絡体制参照)
前段階で輸送物からの収納物の漏洩または露出が認められた場合は、
1] 立入制限区域の設定
2] 漏洩物質の飛散防止(ポリエチレンシート等による被覆等)
等の措置を講じ、さらに必要がある場合には、
3] 一般公衆等(走行中の他車を含む)の事故現場からの逃避、退避勧告等の措置を行う。
この段階に至ると、輸送隊の無線の他に、警察無線等の公的な通信手段の協力が必要となる。
派遣専門家、派遣係官等が到着し、現場事故対策本部が設置された後は、隊列運行の場合には運行責任者は、(他方単独運行の場合には運転者等は、)事故発生後の措置経過及び現況等を同対策本部の長に説明し、その指示に従い、事故時統括管理組織または事業者から派遣された支援者、支援資器材も含めて必要な人員、資器材を提供して上記の措置及び路面等の環境の除染を進めるとともに、環境試料の放射能測定等の評価に協力する。さらに必要がある場合は、代替容器、代替車両、クレーン車等を事故現場に用意し、輸送物の移送等の措置を行う。
(四) 復旧
第二段階の事故評価及び現場での指示に基づく対策結果を踏まえて、復旧に至る段階に移行する。
輸送物からの放射能漏洩が認められる場合には、第二段階に引き続き派遣専門家、派遣係官等の指示に従って、環境の除染を続行する。所定のレベルまでの環境除染が完了し、派遣専門家、派遣係官等による人、車両、資器材等の除染状況の確認も含めた最終評価が終了した時点で立入制限区域等を解除し、事故現場の復帰宣言を行う。