日本財団 図書館


井原地区消防組合消防本部(岡山)

 

018-1.gif

 

井原地区消防組合消防本部は岡山県の西南に位置し、広島県と境を接し、井原市・矢掛町・美星町・芳井町の一市三町で構成され、昭和四八年に発足した。管内面積は三三三・九九km2、人口は六六、○○〇人で一本部・一署・一出張所・二分駐所、職員七五人と消防団員二、二六五人が郷土の安全を守っている。

管内には岡山県の三大河川の一つである高梁川の支流小田川が流れ、その流域に井原市を中核とした市街地が形成され、昔から山陽道の宿場町として栄え、交通の要所ともなっていた。現在も宿場町の香りを残し、毎年「本陣まつり」が行われ、当時の衣装をまとった大名行列は壮大なものである。そして、戦国大名の典型的な武将であり関八州制覇の基となった北条早雲の出生ゆかりの地であり、源平屋島の合戦で扇の的を射た那須与一が恩賞として賜った地の一部である。また、郷土の生んだ木彫刻界の巨匠「平櫛田中」の作品を展示した田中美術館がある。

平成一一年一月二日には、待望の鉄道井原線が開通し、井原駅ビルも完成間近となっている。

 

防災拠点として本部・署の移転計画

より迅速、的格に情報を把握し初動体制の確立を図るため、受信体制の中枢となる集中指令施設の導入をはじめ、車両・防災用資器材の導入を進めている。また、現在の庁舎敷地は、狭隘のため隊員の訓練等に無理が生じているので施設の整備が必要となっており、用地を確保し庁舎移転を計画している。

 

救命率向上をめざして

現在三名の救命士が誕生しており、本年度も一名を養成所に派遣予定である。そして四一名の職員が救急II課程を修了しており、今後は高規格救急車を配備し、救急業務の高度化に向け着実に前進している。また、医師による職員への救急処置講習会を行い、実戦に即した技術の習得に励んでいる。

 

地域住民とのふれあい

井原地区少年婦人防火委員会主催による「防火のつどい」を隔年で実施し、クラブ員としての自覚を促している。今年は第七回の「防火のつどい」を秋の火災予防運動期間中に予定しており、幼年・少年消防クラブ員、婦人防火クラブ員及び消防職団員等六〇〇人が一堂に会し「自分たちの地域は自分たちで守る」をテーマに、盛大に行う予定である。

少年消防クラブでは、毎年クラブ員の「消防署一日大署」を実施している。幼い頃から火の恐ろしさを知り、防火意識を高めるとともに日頃の消防署の仕事への理解を深めてもらい、クラブ員自らが消火器使用訓練、救急法、梯子車の搭乗等を体験しながら親睦を図っている。

また、平成七年より一般住民を対象とした応急手当講習会を実施し、既に二七六人に修了証を交付した。今年度も多くの方に受講してもらえるように働きかけている。

 

「和」と「少数精鋭」

片山消防長は「少人数だからといって、災害、事故はそれに合わせてはくれない。増大する予防行政にも対応しなければならない。どのような場面でも対応できるよう、一人で何役もこなせる訓練や勉強が欠かせない。そうした中、協調性と機敏な行動力を養い地域住民に信頼される職員の育成を目指し、職員が明るくそして楽しく働くことのできる職場環境を作っていきたい」と力強く述べた。また、取材中に火災通報があり、訓練中であった消防隊が迅速に出場していく姿がとても印象的であった。

(中村 昌美)

 

018-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION