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一 レディース隊の発足まで

行田市消防本部管内では、平成九年一二月七日に『浮き城のまち行田・消防ボランティアレディース隊』が発足した。

これは、阪神淡路大震災やロシア船籍「ナホトカ号」の重油流出事故等での市民ボランティアの活躍を見た市民の間に「万が一の時の初期消火や初期の応急手当」について市民一人ひとりがこれを実践できたらどれだけ強い自主防災につながるかと考えた婦人グループからの声を受けて、消防本部と連携し、発足に至ったものである。

このボランティアグループは、もともと日頃からご近所付き合いや婦人会・公民館活動など地域の活動を行う中で、地域の情報に明るい点及び家庭や市内での生活時間が豊富であるという点を生かす形でボランティアを考えたもので、具体的な活動は、次のとおりである。

(一) 消防隊支援活動(火災発生時における街角消火器等を利用した初期消火や負傷者などへの人命救助活動並びに地域に住む単身老人などの避難誘導や消防隊への通報支援活動)

(二) 救急隊支援活動(水火災等を含む人命救助に欠かせない応急手当活動)

(三) 消防に関する広報支援活動(各種消防行事等に参加協力し、広く消防活動等についてPRを行う活動)

 

二 官民一体となった防災体制をめざして

消防サイドでは、市が進める「災害に強いまちづくり」を市民レベルで支援してくれるこの組織に対して、全面的なバックアップを約束し、文字通り官民一体となった防災体制を築こうとしている。

一二月の発足後、隊長ほか各支部長等の役員を選出し、今後の消火訓練や救急救命講習等の隊員研修や、火災予防週間等における各種火災予防啓発活動等のボランティア計画を作成した。また、第一回総会では、レディース隊活動をバックアップすべく職員手作りの「隊名」と「火の用心」などが書き込まれた「たすき」が披露された。その他、隊員に配布する隊員証のイメージマークを次の意図により作成した。

1] レディーの頭文字「L」が風にたなびく爽やか感を演出

2] 「女性らしさ」と「生命」を表現するものとしてハートを採用

3] ハートを大きく五つ並ばせることで生命の大切さと普遍性をアピール

なお、平成一〇年六月一日現在のレディース隊の参加状況は、約一、五〇〇人である。

 

おわりに

当消防本部には、防火・防災の支援組織として、今回発足した『浮き城のまち行田・消防ボランティアレディース隊』の他に現在三四三事業所からなる「行田市防火安全協会」や「幼年消防クラブ」等の組織がある。

その他、平成六年一月に音楽を通じて火災予防PRを合い言葉に発足した「消防職団員音楽隊」は市内各種行事に参加し、防火広報の一役を担い、市民から絶大な評価を受けている。

消防サイドとするとこれらの組織の機動力を最大限に生かし、また連携した、いわば官民一体となった防火・防災PR活動等を積極的に行っていきたいと思っている。

最後に、ここ行田市では市民参加によるまちづくり意識の定着から「官民一体となった防災意識」が育まれつつある。

(永沼 信雄)

 

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柿沼安治消防長とレディース隊の役員

 

 

 

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