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このような地形から西南濃の低湿地を中心に世界的にもめずらしい「輪中」が大小八〇以上におよび、揖斐川水系の自噴帯にあり、古くから「水都」と呼ばれる良質で豊富な地下水帯が存在している。

当消防本部は、昭和四五年単独消防本部から組合消防本部となり、一本部・一署・五分署で構成され、昭和六一年四月の機構改革で一本部・三署・三分署体制とし、現在職員数二〇五人で一市五町(人口約二二万五千人、総面積一八一、二二km2)を管轄している。

ここで紹介する事例は、日本の大動脈のひとつである名神高速道路上り車線において、大型トラック等五台の関係する追突事故における救急救助活動事例である。

 

一 発生日時等

(一) 発生日時

平成九年十二月二五日(木) 午前四時〇五分ころ

(二) 発生場所

岐阜県大垣市今福町地内 名神高速道路上り三七三・七キロポスト

(三) 気象状況

天候晴・気温三℃・湿度七八%・風向無風状態

(四) 覚知時間

四時一〇分 南分署救急隊 三人

四時二〇分 南分署救急隊から応援要請

中署指揮隊 二人・中署救助隊 四人

中署救急隊 三人・南分署支援隊(タンク車) 三人

四時三五分 指揮隊からの応援要請

北署救助隊 四人

(五) 現場到着時間

四時一八分 南分署救急隊

四時二八分 南分署支援隊(タンク車)

四時三三分 中署指揮隊・中署救助隊・中署救急隊

四時五八分 北署救助隊(大垣インターチェンジ着待機)

(六) 救助活動完了 五時〇三分

(七) その他の車両 本部車両 五人

その他の機関

岐阜県高速道路交通警察隊パトカー 一〇台 二五人

日本道路公団名古屋管理局羽島管理事務所 三台 六人

協力機関

外部応援業者レッカー車(日本道路公団依託) 二台 四人

 

二 事故発生の状況

この事故は、五台の車両が関係する追突事故で、追い越し車線を走行していた大型トラックが前方で部分渋滞が発生していたため、スピードをゆるめたところへ他の大型トラックが追突、更に後続の大型トラックが追突、そこへ後続の普通トラック、大型トラックが次々と追突し、最後尾の大型トラックの運転手と普通トラックの運転手及び助手席に同乗していた三人が脱出不能となった。

 

三 現場到着時の状況

岐阜県高速道路交通警察隊及び公団が事故車線側の上り車線を完全閉鎖しており、普通トラックの運転手は座席とダッシュパネル及びハンドルに下腿部が挟まれた状態で、助手席の同乗者は座席とダッシュパネルに下腿部が挟まれていて二人とも下腿部の激痛を訴えていた。また、最後尾の大型トラックの運転手は、座席とダッシュパネル及びハンドルに下腿部が挟まれた状態でハンドル外傷と思われる腹部の激痛と下腿部の痛みを訴えていた。

なお、活動現場が二箇所あり大型車両であることから要救助者救出に時間を要すると判断し、北署救助隊を要請すると共に中署救急隊に、第二活動現場の普通トラック内の要救助者のレベル観察及び応急処置を指示した。

 

四 救助活動の状況

第一活動現場で、最後尾の大型トラックが、普通トラックに食い込んでいるため、南分署支援隊のタンク車でワイヤーを使用して大型トラックを牽引し引き離した後台付けとし、大型トラックのハンドルシャフトにワイヤーを掛け救助工作車後部ウィンチ(一〇トン引き)で牽引し運転席を拡張して一人を救出した。

 

 

 

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